頑張れる自分に自信持って 元祖ビリギャル 小林さやかさん

 映画「ビリギャル」で有名な作家でコラムニスト、起業家でもある小林さやかさん(36)が2月27日、ニューヨークのジャパン・ソサエティー(JS)で対談形式の講演とサイン会を行った。退学寸前の問題を抱えた中学生から難関大学、慶應義塾大学の入試に合格するまでの自身の道のりを描いた2015年の映画『ビリギャル』の公開10周年を記念し、彼女の人生、キャリア、執筆活動とモチベーションについて語った。また、昨年7月に発表した著書『私はこうして勉強にハマった』についても紹介した。対談の相手はJSの理事でモルガン・スタンレーのシニアアドバイザーを務める面圭史(ほおつき・けいし)さんが務めた。

 「聖徳太子」を「せいとく・たこ」と読み、日本地図を描いてみてと先生に言われて「まる」を描いた高校2年の時の小林さんを慶應に向かわせたのはいったい何だったのか。

 母の勧めで塾の面談へ赴いて坪田信貴氏と出会い「東大行く?」と聞かれ「イケメンのいる大学がいい」「なら慶應ボーイのいる慶應か」「わあ、めっちゃウケる。櫻井翔くんのいる慶應!」。それが小林さんのエンジンのスイッチが入った瞬間だった。「動機は不純と怒る人はいるかもしれないけど、それでいいと思う。自分にエンジンがかかったんだから」。

 周りの人は「受かるわけないじゃん」と相手にしてくれなかったが、猛勉強に励んで1年半で偏差値が40上昇した結果、慶應義塾大学総合政策学部、関西学院大学、明治大学への現役合格を果たすと、周囲の目は一変した。評価は2通りに分かれた。「頑張ったね!すごい!」という賞賛と同じくらい「受かると思ったよ、もともと頭は良かったんだろうね」という納得派。その時「人間は結果で判断するものだ」と理解した。人が頑張れる条件は2つ。「自分にはできる」という絶対的な自信と「これを絶対に達成して手に入れたい」という強い願望だという。

 新しい会社、AGAL(あがる)=Aギャル=を立ち上げ、「日本の若者や日本人にもっと自信を持って自分の目標に向かっていく勇気を与えたい」。コロンビア大学に2年間通い、英語も上達した。「頑張って、慶應、コロンビア大、自分の会社設立と努力が全部つながっていることは、どこにいても同じだとアメリカの人に伝えたかった」と話し、大勢の観客から祝福されていた。

 (三浦良一記者、写真も)