メイク講師・美容ライター
熊谷 真理さん
2020年はコロナ禍によって美容、とくにメイクの在り方が大きく変わり、新時代で必要とされるメイクをどう提案すべきか、悩み、考え、もがいた1年だったという。熊谷真理さんはメイク講師で美容ライター。6歳女児の母親でもある。2016年から昨年までニューヨークを拠点に日本クラブの講師をするなどして活動していたが、昨年秋に帰国、この3月からは夫の次なる海外赴任地のミュンヘンでの新生活が始まった。メイク術を発信するインスタグラムinstagram(@mari_loves_beauty)のフォロワー数は約12万人に上る。
栃木県宇都宮市出身。青山学院大学文学部英米文学科を2009年に卒業後、金融機関を経て通販化粧品会社に転職、販路拡大、宣伝業務でバリバリ仕事をしていたが、夫の海外転勤が決まり、丁度出産間もない頃でもあったため「泣く泣く退職」、16年3月に来米した。
退職はしたが、化粧品と関わった自分のキャリアを無駄にはしたくないとの思いが強く、夫の駐在生活は期間限定と割り切り、日本を発つ前に日本化粧品検定1級・コスメコンシェルジュの資格を取得して渡米。在米中にもNY州認定エステティシャンの資格をはじめ、クリスティンバルミ・アドバンスメイクアップサーティフィケイト、NYファッション工科大学(FIT)カラースペシャリストサーティフィケイト、コーネル大学ニュートリション&ヘルシーリビングサーティフィケイトなど、メイクに必要な知識と技術の修得に積極的に挑戦し、理論と実践で自分を磨いた。努力の甲斐あって第6回コスメコンシェルジュ金賞受賞と見事な成果も出した。
メイクといえば、従来ならベースメイクにアイメイク、チーク、リップで顔全体をコーディネートするのが主流だったが、コロナ禍でマスク着用・ステイホームが日常になったことで、そもそもメイクをしないという人が激増した。そのような状況下でもいかにメイクを楽しんでもらうか、必要性を感じてもらうかに腐心した一年だったという。
最近、ある人に言われて気づいたことがある。すっぴんで過ごすのは楽だが、ふと鏡を見たときに映る自分を見てはげんなりしてしまうと。今まではメイク、イコール「外向け」というイメージだったが、「新時代のメイク」は「自分の気持ちを高めるためのもの」という位置づけに変わっていくのではと思っている。
顔の中で魅力的なチャームポイントを活かすようなメイクを心がけている。既に持っているパーツを丁寧に美しく作り込むことで、顔全体の印象がパッと華やぎ、より素敵に見えることがとても多いという。また、コンプレックスに関しては「メイク理論や「光と影」のバランスを味方につけるだけで驚くほど目立たなくすることができる」とアドバイスする。
コロナ禍前の一昨年夏、「ニューヨークでボランティア」主催のザ・ジャパニーズ・スパ・デーに参加した。高齢者ホームの入所者にメイクやネイル、ヘアセットなど美容関連のサービスを施すイベントだった。「メイク後、何度も何度も鏡を見てはほほ笑む入所者さんの姿を見て、女性は何歳になっても美しくなることに貪欲で、メイクはそれを叶えてくれる魔法のようなものなんだと強く感じました」と話す。4月には日本クラブでメイクウェビナーを開催予定だ。(三浦良一記者、写真は本人提供)