NYPD警察官
沙羅・ブラッドレーさん(26 )は、日本人を母親にアメリカ人を父親にニューヨークで生まれ育った生粋のニューヨーカーで、ニューヨーク市警察(NYPD)の警察官として活躍している。マンハッタンの61丁目より南を管轄するマンハッタンサウスの中でもタイムズスクエアや五番街、ロックフェラーセンターなど商業地や密集した住宅地のミッドタウン地区を管轄するミッドタウンノース18分署に所属している。現在は、コミュニティー・アフェイアーズ・カウンシルという地域防犯課に異動し、内勤で犯罪傾向分析調査や地域社会に出かけていって防犯対策のレクチャーを行なっている。
「小さい時から法律を守る仕事に就きたいと思っていたんです。私が育ったクイーンズのアストリアの駅には、いつも警察官が立っていて、ポリスマンを見て、おーかっこいい、と思ったのがきっかけかもしれません」と優しそうな笑顔で語る。警察官になろうと真剣に思ったのは高校時代。だが、ポリス・アカデミー(警察学校)の入学資格年齢は21歳から。バーモント州のノーウイッジ大学で犯罪法を専攻して卒業後に警察学校に入学。同期は300人。6か月の警察官養成訓練では、座学のほか走行や水泳などの体育訓練や、拳銃などの射撃訓練などを受け、任官試験に合格して晴れて警察官に。NYPDには3万人の警察官がいるが、最初に配属されたのが18歳以下の犯罪を扱う少年課。
ギャングなどの犯罪の9割以上が集中する警察官業務のなかでも最も危険が伴う部署だ。アッパーウエストの低所得者住宅ビルで銃撃事件の通報を受けて駆けつけ、拳銃を持った容疑者が8階建てのどこかに隠れているのを応援部隊6人でくまなく捜査して容疑者を逮捕した時が最も危険な体験だったという。
警察の仕事はストレスと緊張がついて回る。20年間の勤続を終えて41歳で退官したら次は「もっとピースフルなリラックスできる仕事に就きたいですね。でもやっぱり人々が幸せに安全に暮らせるような仕事でしょうか」と話す。
子供の頃はNY補習授業校LI校に通っていた。クイーンズで学習塾を経営する母親の和子さんは「女の子なので最初は心配しましたが、今の課に配属されて、今は安心して応援しています」という。
(三浦良一記者、写真は本人提供)