ブルックリン実験アート財団(BEAF)共同創設者兼エグゼクティブディレクター
ラトガーズ州立大学美術史学部を卒業後、20年以上にわたりニューヨークを拠点に、主にアジア文化系団体でのマネジメントに従事している。ジャパン・ソサエティー・ギャラリーやアジア・ソサエティ美術館に勤務した後、アジアン・カルチュラル・カウンシル日本財団の初代事務局長を務め、現代アート事業会社を起業。その後、新たにブルックリン実験アート財団(BEAF)を共同設立し、アーティスト・レジデンシー・プログラムや研究支援を通じ、日本人をはじめとするアーティストのサポートをしている。
一貫して日本の現代美術を海外と日本から見てきた。「アジアの中の日本の文化が、一種ガラパゴス的な良さを維持していて、日本人でもあまり知らない地方の小さなお祭りのニッチな文化を来日した海外アーティストとの接触で知ることなど、外に出て改めて自分の国の面白さに気づくことが多かった」という。
宇宙事業スタートアップSpacetainment社でアート事業を統括、史上初の国際宇宙ステーション外壁での展示となった野村康生さんの宇宙アートプロジェクトを監修(本紙2024年新年号既報)したのもそんな人との出会いの影響を受けた結果だ。近年は、特にデジタルアートの専門家として活躍し、サンフランシスコのアジアンアート美術館で開催された村上隆個展の公式カタログに寄稿する一方で、NYファッションウイークでは土佐尚子のショーのランウエーを2年連続でモデルとして歩くといった別の顔もあり、七面六臂の活躍ぶり。
BEAFの第一弾レジデンシー企画では日本の現代芸術振興財団の支援を受けて実現したアーティスト高橋銑(たかはし・せん)のプロジェクトでは、NY滞在3か月間で40か所以上のアート現場に案内した。年明けには、東京都主催のシビッククリエイティブベース東京の国際シンポジウムで、BEAFが日本のアーティストを支援する文化交流活動について講演、一般社団法人Open Art Labが東京・四ツ谷駅前に開設した複合文化施設「Mikke Gallery」の初キュレーターコンペに入賞して今春に企画展のキュレーションを行うなどスケジュールが目白押しだ。
これでもまだ公表できないプロジェクトがいくつかあるそうだから、日本の新進アーティストたちが斯波さんの手によって海外に羽ばたいていくアート元年の幕開けを予感させる。
(三浦良一記者、写真も)