街中のPCR検査で帰国可能か?

書類作成にばらつき

安心確実なのは高額でも指定医療機関

 日本の水際対策も緩和の兆しにあるが、ワクチン接種が無料なのに対し、現在も日本入国の際には、出国前72時間以内の検査証明書(所定フォーマット推奨)を検疫所へ提出する必要があり、クリニックなどでの検査と陰性証明書発行には数百ドルがかかるため、日本を行き来する人には痛い出費となっている。ニューヨークを歩いていると目につくテントやバスのポップアップ(仮設)コロナ検査所は、いくつかの研究所によって運営されており、殆どが無料で検査を提供している。これが日本入国の際に使えれば費用的には助かるのだが。調べてみた。(写真:タイムズスクエアにある特設のコロナウイルス検査テント)

 仮設テント検査所のうちのひとつLABQ(ブルックリンの医療研究所)を調べてみたところ、厚生労働省・検疫所が指定している有効と認められる採取検体の唾液(SALIVA)で、検査方法も有効とされているRT-PCR法で検査を行っている。ただし、検査方法は有効と認められていない中鼻甲介ぬぐい(Mid-Turbinate for swab)も行っているため、テスト前にスタッフに唾液検体での検査をリクエストする必要がある。

 証明書についてだが、厚生労働省ウェブサイトには「所定フォーマットの使用することが困難な場合には、任意のフォーマットの提出も妨げられませんが、「検査証明書へ記載すべき内容」が満たされている必要がある」とある。「検査証明書へ記載すべき内容」とは、・名前、パスポート番号、国籍、生年月日、性別・検査法、採取検体(有効と認められる検体及び検査方法であること)・結果、検体採取日時、結果判明日、検査証明書交付年月日・医療機関名、住所、医師名、医療機関印影・以上すべてが英語で記載であること。詳しくは厚生労働省サイト(別表参照)で要確認。検査後24〜36時間後に研究所からメールで送られてくる検査結果のPDFをプリントして、国籍は表示されないため自身で(英語で)書く必要がある。(「パスポート番号、国籍、生年月日、性別」記載がない場合は、余白部分に本人が手書きでこの情報を記載することは可能と在ニューヨーク日本国総領事館ウェブサイトに記載あり(別表参照)。

 また、医療機関印影に関しては、「医療機関・医師名、印影については、必ずしも各国で取得できない事情があることから、検疫官の判断により、有効な証明とみなすことがあります」と、こちらも厚生労働省サイトに載っている。

 同研究所のポップアップ検査所は、10月28現在で全41か所(ブロンクス4か所、クイーンズ4か所、ブルックリン9か所、マンハッタン 24か所)土曜日以外の毎日、大体は午前10時から午後5時までオープンで、ポップアップ検査所の閉業時期は未定だが年内はオープンの予定。要ID(パスポート)持参、予約不要。厚生労働省の所定フォーマットをプリントして、ブルックリンにある研究所に持参すれば署名等の対応してくれるとのこと。140 58th St Building A Unit 3L, Brooklyn, NY 11220

 ただし、現状では、市街地の路上で行われている無料PCR検査所では、研究所に寄っては日本の書類を持って行っても受け付けてくれないところもあり、証明書を発行してくれるLABQでも、確実に書類をもらうためにはブルックリンのオフィスまで行かなくてはならない。日本からNYに来て、数日の滞在で帰国しなくてはならない場合、早急にPCR検査をする必要があり、その際に、無料で日本所定の検査をしてくれてなおかつプリントアウトした厚生省の書類にサインしてくれるところを自力で探し出して交渉するのは、日本から来たばかりの人が自力でやるには荷が重そうだ。しばらくは安全をお金で買うという気持ちで総領事館指定の日系医療機関などで書類を作ってもらうのが無難なようだ。(佐久間千明)


生労働省サイト

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00248.html

在ニューヨーク日本国総領事館ウェブサイトに記載あり)

詳しくはhttps://www.ny.us.emb-japan.go.jp/oshirase/border-control.html

LABQ(ブルックリンの医療研究所)

詳しくはhttps://labq.com/covid-mobile-testing/