NY市人権委員会がポスター地下鉄駅に
ニューヨーク市人権委員会主催のパブリックアート展「私たちは私たちの街を信じています」が11月4日から始まり、ブルックリンのアトランティックアベニュー駅に、アジア人の肖像画に「私はあなたのスケープゴートではない」「私はあなたを病気にしてはいない」などと書かれたポスターが多数展示された。バークレーセンターやマンハッタンの地下鉄ホームでの電子看板でも一部表示されている。期間は12月2日まで。
ポスターを制作したのはアジア系米国人アーティストでブルックリン在住のアマンダ・フィンボディパッキヤさん。人種差別とりわけ新型コロナウイルス関連の差別や偏見に直面したアジア・太平洋諸島系の復権をテーマにしている。
フィンボディパッキヤさんは、中国文化のなかで回復力を表す菊のほか、友情と連帯の牡丹、長寿と保護のかんざしなどを作品に散りばめた。「GO BACK/戻れ」と大きく書かれたポスターには「中国に帰れ」ではなく、中国を象徴する花や商売繁盛の縁起物の招き猫などを配し「新型コロナ以前に戻ろう」という意味を込めたという。
NY市人権委員会によると新型コロナ関連による差別、嫌がらせ、偏見の報告は今年2月以降566件を超えている。うち184件はアジア人差別で、昨年同期の26件から大幅に増加している。ブルックリンのベイリッジでは6月に「中国人はベイリッジを破壊している」とするチラシが電柱に掲示された。ベンソンハーストでは7月、外を歩いていた89歳のアジア人女性が男2人に平手打ちにされシャツに火をつけられる事件が発生。9月27日には日本人ジャズピアニスト、海野雅威さんがハーレムの地下鉄駅構内無人改札口で若者グループに差別的な言葉を言われ暴行され、重傷を負う事件も起きた。
シンクタンクのピュー・リサーチセンター(本部ワシントンDC)の調査によれば、新型コロナ禍が始まって以来、米国の成人の約4割がアジア人に対して差別的見方をすることが一般的になっているという。