石岡瑛子に魅せられて

アーティスト 柿沼 光悦

 LGBTQ+を支援するアートショー、「スーパーファイン・アートフェア」がマンハッタン・ミッドタウンの五番街にあるセンター415で3日まで開催された(本紙10月2日号既報)。出品した日本人アーティストの柿沼光悦に話を聞いた。

 自身のセクシャリティの立場をカミングアウトしたばかりという。「更なるアート活動へ繋がる人脈づくりは勿論のこと、公表しなければ結婚できないと思った、またそれはNYだからこそ思えたこと」と語る。作品のメインテーマは水彩やシャープペンシルで描く「フェアリーテイルを通じた他の世界」。作風は細密で美しいライン・シェイプを使ったアートを展開。

 1988年栃木県生まれ。2010年武蔵野美術大学映像学科卒業。同大学卒業後、コスチュームに関心を寄せていたときにアートデザイナーの石岡瑛子(故人)の代表作のひとつであるドラキュラ花嫁に出合い、高尚なデザインと反復させることによる美に感銘を受けた。

 石岡氏を象徴する言葉である「Never seen before(かつてない)」感動を自身の作品を通じて感じてもらいたいという。

 現在は水彩、ドローイングをメインに国内外で作品を発表している柿沼。ニューヨーク市内、学校やレストラン、バーなどでの展示を経て、今回スーパーファインアートフェアでNYの五番街に躍り出た。(佐久間千明、写真も)