従業員からの訴訟が多い州ワースト10は?
保険会社HISCOXが2017年発表した従業員からの訴訟ガイド(
)によると従業員からの訴訟が多い州は、第1位ワシントンDC(81%)、2位ネバダ州・デラウエア州(55%)、4位ニューメキシコ州(50%)、5位カリフォルニア州(46%)、6位ミシシッピ州(43%)、7位アラバマ州(39%)、8位イリノイ州(35%)、9位ジョージア州・コネチカット州(19%)。
この数字は2016年平均で10.6%の企業で従業員からの訴訟が起こっているなか、平均よりも訴訟の数が多い企業数の割合いを計算した数字だ。2014年の調査ではカリフォルニア州が最も多かったが、カリフォルニア州の数が変わらない中、他州が増えた形である。
EEOC(Equal Employment Opportunity Commission:雇用機会均等委員会)の調査によると、最も訴えが多かった内容はRetaliation(報復) 45.9%。この報復とは、例えば差別を受けていると会社に不満を申し出た時に会社から逆に無視されたり、希望しない異動をさせられたり、減給、降格、あるいは解雇という「報復」を受けた場合のことである。続いてRace(人種差別)が35.3%。そして性差別が29.4%と続いている。
もし従業員から訴訟を受けた場合のコストはどのようなものがあるだろうか?
この調査によると、(1)ケースが解決するまでの日数:平均で318日、(2)弁護や示談で金銭を支払う割合 :24%、(3)弁護や示談で支払う金額:平均16万ドル、(4)保険会社を利用して弁護や示談金を支払っていないケース:76%、となっている。
企業側が法律を犯しているケースでは保険会社も支払が行われないケースが多くある。例えば、各州の法律で注意すべき点は、E-Verifyの利用、Credit Checkによる人事決定、妊娠・出産の雇用者が図るべき便宜、採用時の過去の犯罪履歴質問禁止、等の法律違反により問題が起こるケースが多くなっているということだ。
E-Verifyはオファーを行う前に利用したり、結果によって人種、出身国による差別をしたり、既に雇用した従業員を再度E-Verifyにかけたり、E-VerifyがPendingになったことで解雇したりした場合に訴訟になっているようだ。Credit Checkはオファーを出す前にCreditチェックを行ったり、Credit チェックと関係ない仕事の場合に採用しなかったりした場合が考えられる。妊娠・出産は適用すべき合理的便宜が行われなかったり、あるいは義務づけられている休暇が与えられなかったり、また妊娠・出産を理由に解雇をしたりすることが訴訟の原因となっている。
採用時はアプリケーションの段階で過去の犯罪履歴を質問できない州が増えているが、アプリケーションで質問を行っているケースが訴訟になっている。その他、最近注目した訴訟事例を下記のリンクでも紹介をしている。
■最近の注目訴訟事例
【訴訟】DHL Flyaway Express 配送ドライバー集団訴訟
【訴訟】日本食レストラン 約5億5千万円の罰金を約2億7千万円の支払で示談
※ その他の訴訟事例はブログ(https://ameblo.jp/angelmarketing/)にてご覧ください。
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山口 憲和 Philosophy LLC 代表)