映画館閉鎖続く

4万5千人解雇

世界第2位米英全館で

 大手映画館チェーンの英国のシネワールド・グループは5日、米国と英国内のすべての映画館の営業を停止することを発表した。 

 同グループは英国に127か所、米国では536か所の映画館を展開し、映画館業界ではAMC社に次ぐ世界第2位の大手として知られる。同社の映画館は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で数か月間休業し、7月から安全対策に配慮し営業を再開していた。しかし、再び拡大している新型コロナウイルス感染と、007シリーズの新作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」の公開延期は、映画館業界には大きな打撃となっている。同社の株価は5日付で42%以上急落するなど、コロナ禍での生き残りの能力が問われている。営業停止により、英米合わせて従業員4万5000人が解雇される。 

 同社の今年前半の収益は67%に当たる16億ドル減だった。同社最高経営責任者のムーキー・グレイディンガー氏は「主要市場が再開に向けより具体的なガイダンスを設け、撮影所が主要映画公開の供給経路を確実にするなど、現状を入念に監視しながら、相当な時期を見計らって営業を再開する」と話している。 

 同グループ傘下で、NY州内の他の多くの映画館と同様に営業が停止したままのタイムズ・スクエアの映画館リーガル・シネマズはこのほど、入り口の電子掲示板に、上映中の映画作品のタイトルの代わりに「48州で映画館がこれまで再開を果たしているのに、なぜNY州はまだだめなのですか、クオモ州知事?」というメッセージを提示した。アンドリュー・クオモNY州知事は今年8月、同州内のすべての映画館は間もなく再開できるだろう、と伝えていた。米劇場所有者協会(NATO)のジョセフ・マーシャーNY支部長は「クオモ州知事の返答を待ち続けている。次の再開は映画館だ、と前回発言したのはすでに1か月前で、結局次に再開したのはクリケットだった」と話している。同州知事のスポークスマン、リチャード・アゾパルディ氏は「不愉快な思いをしている人々がいることは理解しているが病に陥ることよりはまし。州政府は、2波を阻止しようと全力で努めている」と伝えている。

(写真)米国内536館を閉鎖したシネワールド・グループの傘下のリーガル・シネマズ映画館(タイムズスクエアで12日)