従業員の採用をリモートで行うときの注意点(その2)
前回は、リモートでの面接でテクノロジー上の問題があったときのお話をさせていただきましたが、必ずしもそのような問題がいつも起こるというわけでは決してありませんので、そのような状況を設定した質問などを事前に作っておいて面接時に投げかけてみられるのがよいのではないでしょうか。それ以外としては、いまさら言うまでもないことですが、対面であってもリモートであっても面接で尋ねる質問内容に差別的な要素が入っていないかどうかに対して十分に注意を喚起することが必要となります。
特に日系企業様で気をつけたいところは、性別、年齢、国籍、人種、言語(母国語)、出身国、結婚、家族、障害、健康などについてです。恐らくこれらに関する質問は日本にいて日本の会社で採用面接をする際に普通にお尋ねになっている内容ではないかと察せられるからです。一例ですが、IT関連のポジションで新規採用をかける際、できるだけ若い人を採用したいという意識(あるいは無意識でも)が働いて、募集段階でIT業務経験最低2年以上との条件を記載した場合、仮に経験が20年以上ある人が応募してきた場合であっても、その人をはなから ”Over-Qualified” だとして不採用とすると、あとから年齢差別があったとしてクレームされる可能性があります。
最後にリモートでの面接を録画したり録音したりしてもよいかということが最近ご質問として尋ねられることがあります。社内で他の管理職の人にも面接の内容をシェアしたいということで、録画を行うことはできるのですが、その許可を応募者の人にも事前に得ておくことが望まれるところです。また応募者が面接を録音することを禁止することは会社側の守秘義務上の理由から正当化できますので、そのことについては最初に応募者に書いてもらうJob Application Form の中にその録音禁止事項を記載しておいて、本人から承諾した旨のサインと日付とをとっておいてください。また実際に面接を始める前にも面接でのリマインダーとして録音は禁止されていることをお伝えになってください。
コロナ禍によってもたらされた雇用における新常態のひとつに間違いなくリモートワークがあり、これはトレンドとして今後ともますます浸透していくことが予想されますので、皆様の会社でも今からリモートでの面接に対する様々な備えや情報の収集を怠らぬようにしていただけましたら幸甚です。
(酒井 謙吉 パシフィックドリームズ社長)