職場におけるコロナ感染テスト(後)
前号に引続き、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)から出されたばかりのコロナ感染テストの最新ガイドラインについて皆様にシェアさせていただきたいと存じます。
定期的にテストを繰り返す場合にどの様に一定間隔を空けたらよいのかは、業種や地域によって当然違ってくるわけですが、たとえばニューヨーク州では州から出されている事業再開に関しての各フェーズごとのガイダンスの中で、ビューティサロンや理髪店で働くビューティシャンやヘアデザイナーの方々には2週間ごとでのテスト受診を義務付けています。
4)職場復帰する前にコロナに暴露し、コロナから回復した従業員がいた場合、会社は職場復帰させる基準として医療提供者からの診断書提出を求めることができる。ただし、医療機関の患者数が切迫した地域においては診断書をタイムリーに出してもらうことは難しくなることが予想されます。そこでCDCでは、a) 症状を基にした b) 時間を基にした c) テスト結果を基にした それぞれの戦略の中からどれかを選択して適用させることを示唆しています。
5)現在コロナのホットスポットとなっているような地域における公共衛生監視プログラムの一部として、従業員にテストを受けさせることもCDCは認めている。(ただし、そのような地域におかれていない限りにおいては、公共衛生監視プログラムに参加するということは会社にとってはあまり現実的なことではない。)
テストを受け、その結果が出るのを待っている従業員は基本的に推定陽性ということで、自宅での自己隔離をしてもらいます。その際、ADA(アメリカ人障害者法)の要件に従い、会社は従業員の医療情報を機密扱いとしなければならないため、それら自宅隔離の措置を受けた従業員のプライバシー保護や差別防止に努めなければなりません。テストの結果が陽性と出た場合は、もちろんその従業員は自宅で隔離を続けてもらうことになります。そして濃厚接触者との追跡を会社として従業員の機密を保ちながら行わなければなりません。その濃厚接触者の定義ですが、CDCでは症状が現れた日、あるいは陽性のテスト結果が出た日の2日前に15分以上にわたって6フィートの間隔を切る距離で接触のあった人物を指すものとしています。
CDCは連邦機関ですので、この最新ガイドラインは全米中で適用されることになりますが、各州やローカルの郡や市町村から出されている個々のガイダンスについても十分に目配りすることが要求されます。その上で従業員にテストを受けさせることが最適な判断であるかどうかの決定を下してほしいとしています。最後に本ガイドラインの中においてもCDCの見解として、従業員を職場復帰させる際にコロナウイルスの抗体テストを受けさせることについては推薦されていません。
(酒井 謙吉 パシフィックドリームズ社長)