日本の伝統工芸を世界のテーブルに

大石育子の暮らしのテーブル

 残暑お見舞い申し上げます。暑い日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか。

 日本各地で花火があがりコロナ禍でしばらく中止になっていたイベントも活気がもどってきました。海外からの観光客が各地で多く見かけられ、様々な言葉が行きかう様子も日常の景色ですね。NYもまた同じく沢山の観光客が訪れていることと思います。

 今年の夏は友人の海のおうちにお邪魔する機会が多かったので、ビーチサイドのテーブルを作ってみました。

 乾杯はスパークリングワイン。少し前菜をフィンガーフードで頂いてから、メインはローストポーク。サイドにはグリル野菜を添えて。竹籠の中にはデザートのプチフールを。蓋を開ける楽しみのサプライズも女子好みですね。つるりと入る杏仁豆腐で口の中をさっぱりと。お茶はよく冷えた凍頂烏龍茶。

 連載を通じ、日本の素晴らしい伝統的工芸品を世界にご紹介することを毎回の柱として考えています。和と洋、古と新など海外生活の中に自然に溶け込めるミックススタイルをご提案しています。毎回楽しんでいただけたら幸いです。

  今回は私のお気に入りの「駿河竹千筋細工(するがたけせんすじざいく)」という静岡の経済産業大臣指定伝統的工芸品とアメリカンコレクティブルズとして人気の高いキャンドル・ウィックをはじめとしたクロスオーバースタイルのテーブルをご紹介させていただきます。

◆駿河竹千筋細工◆

 駿河竹千筋細工は、徳川家康公ゆかりの駿河の地で育まれた匠の技。古くから続く伝統的工芸品でありながら、21世紀の暮らしにも溶け込むモダンさ。竹には節があることから、結婚、長寿、退職のお祝いなど人生の節目の折の贈り物としても縁起がよいということで人気を集めています。

 その名の通り、細やかな竹ひごを駆使してお盆、盛篭、花籠、行燈、手提げ籠、虫籠など多くの商品があります。その伝統は古く1620年ごろより製造され始めたと伝えられ、参勤交代の諸大名をはじめ旅人たちにも親しまれてきました。1873年にはウィーン国際大博覧会に出品。海外でも高く評価されるとともに日常生活の中でも愛用されて現代に至るまで人気を集めています。テーブルの小物入れは「小町」。一口サイズの和菓子やスコーンをいれたり、蓋を開けて花器として使ったり、LEDのキャンドルライトを入れてみても楽しめますね。予約困難大人気アフタヌーンティーのザ・キャピトルホテル東急「ORIGAMI」のアフタヌーンティーの大きな2段トレイと鳥かごのカバー。

 この美しい商品が海を渡ってNYでもたくさんの人に愛されるものになったらうれしいです。

※文章は駿河竹千筋細工リーフレットを引用

夏のテーブルのポイント

Point1 ガラスの器で透け感を♬=アメリカンコレクティブルズのキャンドル・ウィックで。ガラスを多用して透け感を。

Point2 自然素材を取り入れて♬=竹ひごとラタン(籐)で和洋の素材をミックス。麻ひもやラフィアもGooD。

Point3 何かDIYしよう♬=手作りのネームカードに貝殻やロープをつけて海感をアップ♬ テーブル上には浮き玉やビーチらしい貝殻、ヒトデなどのモチーフも効果的。

大石育子(Ikuko Oishi)

インテリアコーディネーター、食空間プランナー、日本クラブカルチャー講座講師。東京ドームテーブルウェアフェスティバル2019入選、2020年2部門で入選&奨励賞受賞。2023年2部門で入選&佳作受賞。

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