気候の良い週末、「どこか近場でささっと楽しめる場所はないかな?」と思っている方に、ジョージワシントン橋から30分ほどで行ける滝を紹介しよう。パサイック郡パターソンにある、「パターソン・グレート・フォールズ」がそれだ。
パターソンはお世辞にも治安が良いとは言えない街なので、在米日本人でも行ったことのある人は決して多くないのだが、街自体は、200年前から東海岸有数の工業都市として栄えた歴史ある街。その街の発展に貢献したのが市内を貫いているパサイック川。そして、その川の途中に「グレートフォールズ」がある。
この滝は先日、NJのニュースサイトでも、「NJの名滝5選」に選ばれていた。普通、「名滝」というと秘境の山奥に分け入った場所にあると想像しがちだが、この滝は、街中に近い賑やかな場所にあるので驚くかもしれない。また、滝の形状から「NJのナイアガラ」と例えられている案内も多く目にするが、世界的に著名で壮大な「ナイアガラ」を期待していくとガッカリするだろう。だが、先入観なくまっさらな頭で行くと、77フィートもあるその滝は圧巻で、自分が住む場所の近くにこんな滝があったことに驚き、来て良かったと感じられると思う。
同滝がある「パターソン・グレートフォールズ・ナショナル・ヒストリカル・パーク」はのちに米国初代大統領となったジョージワシントン将軍の一行が独立戦争時に休息に立ち寄ったとされる記録もあり、その歴史は長い。その後、街の名前にもなったウィリアム・パターソン知事が1700年代の終わりにこの地を買い取り、パサイック川の流れを生かした工業都市をここに作ることを決め、滝の辺りから工業用水路の建設もした。近代工業が発展した後は滝の力を利用した水力発電所も隣接した場所に建設され、一大工業都市としての街の更なる繁栄に貢献した。
ということで、在米日本人は街の治安の不安からパターソンを敬遠しがちなのでほぼ無名に等しいこの滝だが、アメリカ人には有名で、週末には州内各地から多くの観光客が訪れ賑わっている。インターステート80号の高速を降りると、滝への案内標識がたくさん立っているのでそれに従うと到着する。滝つぼエリアに当たる「オーバールック・パーク」には無料の駐車場もあり便利だ。ここからは滝の全貌を見ることができる。また、そこから左の階段(または側道)を昇っていくと、滝の上を渡る橋に繋がり、橋を越えていくと滝の上流部分に出るので、迫力ある滝の姿を間近で楽しむこともできる。因みに同公園は犬連れでも大丈夫なので家族や愛犬と一緒に楽しもう。
詳細は、www.nps.gov/pagr/index.htm
(本紙 久松 茂・写真も)