新たな経済支援策 追加の1200ドルは合意

 新型コロナウイルスの拡大が止まらないなか、連邦議会で新たな経済支援策の協議が続いている。週600ドルを上乗せをした特例の失業給付の期限は7月31日で切れたが、3日の与党共和党と野党民主党との協議でも両者の溝は埋まらず継続協議となっている。

 共和党は7月27日、新型コロナウイルスで打撃を受けた経済を立て直すための1兆ドル(約106兆円)規模の追加支援策を盛り込んだ法案を上院に提示した。しかし野党・民主党はその3倍となる3兆ドル(320兆円)規模の追加支援策を求めており、溝は埋まっていない。

 直接支援では今春、大人1200ドル、子供500ドルの給付金を高所得者を除く約1億6000万人に支払った。共和党案は8月中に同額の給付を行うというもので、民主党からも異論は出ておらず給付は確実な情勢だ。しかし、民主党は共和党案の失業保険の上乗せ減額などに激しく反対している。

 特例の失業給付についての共和党案は、年末まで延長はするものの10月までに段階的に200ドルまで減らすというもの。州からの失業保険とは別に得られることから受給者の3分の2は働いていた時より収入が増えたとされ、手厚い支給がかえって失業者の就職意欲を失わせているという主張に基づいている。これに対し野党・民主党は失業者の手元資金が枯渇するとして週600ドル上乗せの継続を求めている。

 また、雇用を維持すれば連邦政府が給与を肩代わりするという中小企業支援策の継続も争点となっている。これまでの従業員500人以下のすべての企業が対象だったが、共和党案では50%以上売り上げが減った企業に絞るとしている。これにも「まったく不十分」として民主党は反対している。

 このほか財政事情が悪化している州政府や教育機関への支援でも隔たりがある。従業員が感染しても企業側を訴えることができないようにする共和党提案の免責条項についても民主党は否定的だ。

 米国は3月以降、経済対策を3回にわたり発動させてきた。すでに国内総生産(GDP)の15%にあたる3兆ドル(320兆円)規模に達している。3兆ドルの追加案が決まればコロナ対策は通常の年間歳出(4・4兆ドル)を優に超える巨額の財政出動になる。

 また、給与保護プログラム(PPP)については使用期間満期を迎え、返済免除認定の資料作りに追われる企業が出始めている。