創業寛政元年(1789年)、11代将軍徳川家斉の頃、麻布永坂高稲荷下に創業した更科蕎麦。そば一筋に230年、来店客の「口福」のために、継続と革新を続けている。江戸からの伝統と文化である「そば」を現代でも美味しく食べてもらいたい、いつの時代にも美味しさを追求する姿勢で、ここニューヨークでも新しい歴史をつないでいるようだ。
東京本店(麻布十番)の堀井良教社長(61)=写真=が、ニューヨーク店出店1周年を記念してこのほど来米し、6月27日から29日まで「HORII NIGHT]と銘打って、堀井社長が作成したコースメニューを提供して、客席テーブルを回るというイベントが開催された。
同店の名物は、そば殻や甘皮が混じらない、そばの実の芯の部分だけを用いて打つ真っ白なそば。ほんのりした甘味と、のどごしの良さが特徴だ。当日は、メインのそばで、この更科そばと手打ちそばの相盛り、レモン風味の季節の変わりそばなどが提供された。前菜はおばんざいで群馬県赤城の和牛も出された。
堀井社長は「そばつゆは、うまみでドーパミンの満足感を出す。西洋料理の脂肪と糖分で美味しさを出すものよりもヘルシーだが、伝統にしがみつくのではなく、時間がかかるかもしれないが、海外の人にも喜んで食べてもらえる味がどこにあるのかを発見していきたい。うちの伝統である真っ白い更科そばも、6代目のおばあちゃんが製粉工場と協力して生み出したもので、百年前は革新だったわけで。日本ではまだあまり見ないが、牛肉を使った肉蕎麦なども、うまみにアジャストさせてこちらで喜んでもらえるものができるのではないか」と「海外派」の9代目は、新たな挑戦への意気込みを見せた。同店は、堀井社長と同じ店で修行を積んだ堀剛さんが店長を務めている。 (三浦)
更科堀井
45E 20th St
New York, NY 10003
TEL 917-409-0546
www.sarashinahorii.com
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