クイックUSAアメリカの人事部 コロナウィルス関連(5)

「出社への不安という理由」

 多くの州で一部の経済活動が再開しており、今後も少しずつではあるがニューノーマルと呼ばれる形で経済活動が更に許可がされていくことであろう。
 COVID-19により、在宅勤務を許可している企業も多く在宅勤務に対する考え方が変わったり、不可能と思っていた在宅勤務が実際は可能であること、また可能ではあるものの、運用に困難が 伴うことが分かったのではないだろうか。
先日Twitter社の最高責任者であるジャック・ドーシー氏が、ポストコロナでも在宅勤務を許可すると全従業員に通達したことが話題となった。米調査会社のGallup Data社による調査結果ではCOVID-19によって全米の労働者のうち63%が4月中に在宅勤務を行ったと回答をしており、これは3月の調査結果の31%から2倍強の数値となっている。
また、ビジネス向けコミュミケーションツールを提供するSlack社の実施したアンケート調査によると、現在在宅勤務をしている労働者のうち66%がCOVID-19の影響により在宅勤務を開始しており、専門的知識を要するホワイトカラー労働者(医師、薬剤師、科学者等を含む)であっても約11%は在宅勤務が不可能であると回答している。併せて、調査回答者のうちおよそ半分の48%が在宅勤務では業務遂行がより難しくなるという回答をしている。
 出社拒否をする従業員の対応にはLegal(法的)とReputational(風評)/Morale(モラル)の側面から検討をする必要がある。
1 Legal(法的)
ポスト・コロナでの出社拒否をする従業員には「感染が不安」という理由がまず挙げられる。Legal(法的)な面で、「不安」という要素のみで出社拒否をする権利は従業員にはなく、また雇用主もこの許可をする義務はない。但しThe

Occupational Safety and Health Administration(労働安全衛生庁)及びにAmericans With Disabilities Act (ADA:障がい者法)、各自治体から発表されているガイドラインに即していない場合には企業として従業員からの出社拒否への対応を求められる場合がある。
2 Reputation(風評)/Morale(モラル)

Legal(法的)な部分と同様、今回の出社拒否に対しては会社モラルの観点かも考慮すべきかもしれない。
COVID-19にて多くの従業員がオフィスという閉鎖された室内で複数の人と長時間過ごすことに不安を抱えている点は理解が出来るはずである。特に通常、公共の交通機関を利用して出勤をしている従業員はそのように考えるかもしれない。
出社拒否をする従業員を強制的に出社させることによる企業の風評悪化、従業員のモラル低下を考慮すると、在宅勤務継続も視野に入れた新たな働き方を模索したり、会社の所在地、従業員の就労場所を踏まえて適用可能なベネフィットを調査することで対処の幅が広がりうる。
引き続き出社を求める場合も、①ソーシャル・ディスタンスを保つデスクやオフィス家具の配置、②時間差での出勤スケジュールや、フレックスタイムの導入、③週数日の在宅勤務の許可、④マスクや手袋、オフィス消毒用アイテムの常備等の手配・準備をして、ニューノーマルに準拠した適切な就労環境を提供する必要がある。
HR Linqs, Inc. 社長・CEO 榊原 将
www.919usa.com