反ワクチン派接種反対集会

 ニューヨーク市民の44%が少なくとも1回の新型コロナウイルスのワクチンを接種し、32%が2回の接種を完了している。デブラシオ・ニューヨーク市長が7月1日までに市民に500万回の接種完了を達成する目標に立ちはだかる問題は、ワクチン接種に対して否定的な考えを持つ人たちにいかに接種を促していけるかだ。

 人種別では31%のニューヨーク在住の白人が接種しているのに対し、黒人は17%、ラテン系は19%となっている。地域別でも格差があり、ブルックリンのファーロッカウエー地区での住民接種率は25%にとどまっている。

 市内では、4月23日から市の接種会場では予約なしのウォークインで接種できるようになったが、それ以前は、オンラインでの予約がネックとなり予約をためらう層が相当数いたと見られる。また、予約が取れても、地下鉄が動いていない午前3時にジェイコブ・ジャビッツ・コンンベンションセンターに来るようになどと接種を提供する側の都合で時間が強引に指定されたことも接種初動段階での取り残し組を生んだ。また郊外在住者では、仕事の都合や交通手段などに構わず、公共交通機関では行けない軍の施設などの場所での接種場所を指定するケースも接種の初期段階では多くの人々を断念させた。

 そしてワクチン接種そのものに否定的なアンチワクチン層の多くがワクチンの安全性に警戒感を持っている。4月30日現在ワクチン接種者のうち15万7277人が強い副反応があり、3837人が死亡、2万1623人が緊急治療を余儀なくされた。10日、タイムズスクエアではアンチワクチン運動団体の主催によるデモンストレーションが行われた。イベントを主催した「セイ・ノー・トゥ・キルショット」の配布資料には、1986年に全米小児ワクチン障害法が制定されたことで大手製薬会社はワクチンによる障害の責任を免れたことが契機となり、当時被害者だった子供たちの親が積極的な現代のワクチン否定派を形成していると書かれている。