医療従事者が臨床試験で接種
新型コロナウイルスに感染した場合でも、BCGワクチンを接種している人は重篤にはなりづらいという相関関係が今医学界で注目されている。すでに3月末にニューヨーク工科大学の研究者らによって出された論文でも指摘されているが、11日に、米国日本人医師会の協力でニューヨークの日本クラブが行った医療ウエブセミナーでオーストラリアやオランダで医療従事者や感染して重症化するリスクのある人たちに臨床試験としてBCGワクチンが投与されていることが明らかになった。患者と濃厚接触する医療従事者がBCGを接種していることが明らかになるのは初めて。
これは当日の参加者から「BCGは肺結核のワクチンなので、新型肺炎であるコロナウイルス退治に効果があったとしてもおかしくないのではないか」という質問に対して、講師として参加した金原聡子医師(小児科、内科医、コミュニティーヘルスケアネットワーク)が答えた中で明らかになった。
金原医師は説明の中で、まず、「BCGはアメリカでは基本的にやっていないので、米国の報道ではまだあまり言われてないのだと思うが、データは少ないが、確かにBCGがコロナウイルスに効くのではないかというデータは出ている。特に日本のBCGが良いのではないかというデータは出ていて、実際に感染を防ぐ訳ではないが、感染した場合に症状が軽くなるのではないかと言われている。免疫のシステムが変わるんじゃないか、免疫がつくのではないかと言われている」と述べた。
続いて「それで今どういう状態になっているかというと、オーストラリアやオランダでBCGを打つことによって医療従事者やコロナウイルスによって重傷になるリスクの高い人が重傷にならないのではないかという臨床が進められているが、今の時点ではよく分かってないので、コロナウイルスのためにBCGを打つことはしないようにということが言われている。効果はあるのではないかと期待はされているが、まだ、これから色々データが出てこないとわからないと思う。米国にはBCGのワクチンはないし、世界中にも少ないので、結核の予防のために必要な子供たちの方がプライオリティーとしては高いので、今の状態では臨床試験で使うことはあっても、本当の臨床の現場ではまだ使ってはいけないというようなことになっている」と説明した。