イザベラ・ナーシングホーム
併設居住棟は3割日系人
マンハッタンの東191丁目にある高齢者施設イザベラは5月1日、4月29日までに入居者98人が新型コロナウイルスで死亡したと発表した。内訳は、感染者のうち20人が施設内で、26人が入院先の病院で死亡。感染が強く疑われる人の死亡は施設内で40人、入院先の病院で12人としている。
ナーシングホームに併設されている居住棟には、日系人が多く住んでいるが、ニューヨーク日本総領事館によると死者の中に日本人もしくは日系人はいないという。ワシントンハイツにあるイザベラは2つのビルに705床を有する大規模高齢者施設。介護が提供されているナーシングホームとレジデントと呼ばれる通常のアパートに近い2つのタイプがある。日系人が数多く入居していることで知られ、レジテントと呼ばれるアパート78室のうち25室に日系人が住んでいる。
1棟はすべてナーシングホームだが、もう1棟のレジデントの入っているビルの4階から11階もナーシングホームになっている。そのためレジデントの人もナーシングホームの人たちとの接触がある。イザベラでは15階のレジデントに住んでいた80歳の男性がコロナ感染で4月14日に死亡、レジデント棟でもその男性を入れて3月31日から4月14日までに6人が死亡したと発表していた。
イザベラは感染防止のために州と連邦のガイドラインを遵守してきたものの、ほかの特別養護高齢者施設同様、入居者のウィルス検査には制限があったとしている。またスタッフは毎日健康診断を行うなどしてきたが無症状の人までは識別できなかったとしている。
6年前からイザベラのレジデントに住んでいるという日系米国人のA子さん(73)は、本紙の電話取材に答え「2か月半、一歩も外に出ていない。4月14日に同じ階に住む80歳の男性がコロナで病院に運ばれて亡くなってからは、人との接触も絶っている。食事もレストラン、カフェテリアが閉鎖されていて現在は、1週間前に配られるメニューから事前に選んだ食事を部屋まで1日2食届けてもらっている。食後は14階まで食器を下げに行かなくはならないが、人と接触するのが怖いのでドアのところまで食器を取りに来てもらっている」と話した。
今回多くの死者がナーシングホームで出たニュースには「驚いているが、どこにいても、あっても不思議ではないので、自分が無症状なだけで他人に移す危険もあるので、とにかく人と会わないように、読書などで過ごしている」という。