米国で書籍好調

巣ごもり特需
コミック空前のブームに

 米国で書籍販売が好調だ。新型コロナウイルスのパンデミックで巣篭もりが続き、自宅で聞く音楽や映画の需要が高まると同時に読書をする時間が以前より増えたことが原因らしい。

 4月19日付ニューヨークタイムズ紙によると、政治、人種、実用書、料理などの本が売れ行きを伸ばしているという。在宅者はパンデミック以前と比べ、音楽を20%以上聞く時間が増え、書籍は昨年1月から12月までの累計売上が対前年比で40%の増加が見込まれると業界調査会社のNPDブックスキャン社が発表している。

 この流れが今後も持続するかどうかは判断材料が少ないとしながらもオンライン読者の拡大によってプリント本の販売減少に直面してきた書店や出版社はオールドタイトルの既存本への需要にも望みをつなげている。大手ペンギン・ランダムハウスは来月、独立系の直営書店の米国内での展開をスタートする。

 ニューヨークの紀伊國屋書店は、マンハッタンの中心街にあり、地下が日本の書籍と雑誌、参考書だが、1階は完全に洋書売り場で、2階が漫画とアニメの関連売り場となっている。

 店長の高野耕太郎さんは「書籍も悪くないですし、特に弊店ではやはりアニメマンガ系商品が好調で、それらを求める若年層のお客さんが多い状況です。それらのカテゴリーの売上は、コロナ前以上になっているケースも多いです」と話す。その理由を聞くと「ご指摘の通り、巣ごもり需要があるものと思います。特に、英文のマンガの売上が極めて強いですし、アニメ系フィギュアなども非常に引き合いが大きいです。インドアでアニメ、マンガなどを見る習慣が増えてきたのと、外出が少なくなるので、フィギュアなど、趣味として家に置くフィジカルなものも、意外と引き合い強くなっているのではないかなと思っています」と説明してくれた。

 また「古い本といえば、マンガの『文豪ストレイドッグス』の影響などもあり、太宰治の『人間失格』の英語版は最近急によく動くようになりました。Tiktokのインフルエンサーに取り上げられた影響で、 Madeleine MillerのSong of AchillesがNYタイムズベストセラーに返り咲いた、などもあります」と解説してくれた。日本の英訳漫画本は、空前のブームを迎えていると言い、特に『鬼滅の刃』(Demon Slayer)『呪術廻戦 』(Jujutsu Kaisen)『チェンソーマン』 (Chainsaw Man)が現在3大ヒット作品で飛ぶように売れているという。