クイックUSA アメリカの人事部 コロナウイルス関連Q&A(1)

雇用上の問題に答える

コロナウイルスに関する雇用上のQ&A

 今回は、弊社のクライアントである全米の日系企業様から実際にお送りいただきましたコロナウイルスに関する雇用上でのご質問を、Q&A形式としてまとめてみましたので、皆様にもシェアさせていただきます。

Q(1)  州からの外出禁止命令でお店を当分クローズしなければならない事態となり、ほとんどの従業員を一時帰休(レイオフ)による自宅待機とした。それら従業員に対して最大10日間、80時間までの緊急有給シックリーブ(EPSL: Emergency Paid Sick Leave)を新しい法律に従って提供しなければならないのであろうか?
A 州からの命令で、お店をクローズしたり、工場をシャットダウンした場合は、このESPLは該当にならないと連邦労働省(DOL: Department of Labor)のウェブサイトでは書かれていますので、雇用主はこの新規の有給シックリ-ブベネフィットを一時帰休させた従業員に提供する義務はありません。ですから、代わりに雇用主は自宅待機の従業員に対しては、一時帰休中は州の失業保険をオンライン上から申請するように伝えてください。

Q(2)  弊社はエッセンシャル・ビジネスで物流倉庫を毎日稼動させている中で、自身の感染リスクを心配して自宅勤務の希望を申し出る従業員が何人か現れたが、倉庫に来なければできない業務ばかりなのでそれらの希望はみな基本的に断っている。そこで、中にはコロナが終息するまではしばらく出社を見合わせ自宅待機するという者が出てきたが、そのような従業員にも会社は今度の新しい法律である緊急有給シックリーブ(EPSL: Emergency Paid Sick Leave)および拡大家族休暇(EFML: Expanded Family and Medical Leave)を提供しなければならないのであろうか?
A この場合は、緊急有給シックリーブも拡大家族休暇もそのどちらも適用にはなりません。通常の会社からのシックリーブや有給休暇(PTO: Paid Time-Off)を使うようにしてください。それらを使い切ったあとは無給での自宅待機を許すことになります。無給の自宅待機中もこのような状況下では失業保険の対象にはならないはずですので、そのことをくれぐれも誤解のないように従業員にはクリアにお伝えください。

Q(3)  CARES Act (Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act: コロナウィルス援助救済経済保障法)によると、連邦から失業者一人あたり毎週$600 の追加失業手当てが最長4ヵ月間出されると聞いたが、弊社の従業員の多くは最低賃金に近い給料で働いている者も多く、このような手厚い失業手当が出れば、通常働きに来ているときよりも好待遇となってしまうが、本当にそんなことが許されるのか?
A はい、失業した従業員に対する連邦からの週$600 の追加失業手当は本当で、確かに州からもらう失業保険とあわせたら、おそらく最低賃金以上の失業手当を毎週もらえることになる人も数多く出てくることが予想されます。失業保険や失業手当てはその代わり、再就職したり職場に再復帰したら当然支給はそこで打ち止めになります。今回はことほどさように手厚い保障が政府から提供されますので、一時帰休や解雇した従業員には公的セーフティネットの存在があることを説明し、パニックになったり必要以上に心配しないように伝えてください。

Q(4)  今度の新しい法律である緊急有給シックリーブ(EPSL: Emergency Paid Sick Leave)および拡大家族休暇(EFML: Expanded Family and Medical Leave)は従業員数500名未満の企業が対象ということであるが、従業員が全部で5名しかいない弊社のような零細企業も本当に従わなければならないのか?

A はい、答えはイエスです。ただし50名未満のスモールビジネスに関しては、今回の緊急有給シックリーブおよび拡大家族医療休暇の提供により「事業の継続可能性が脅かされる(Jeopardize the viability of the business as a going concern)」という要件を満たす場合には、学校または託児施設の閉鎖や子供の預け先の確保が不可能という理由」によるそれら有給休暇提供に対しての提供義務が免除(Small Business Exemption)されるとなっています。

(酒井謙吉 パシフィックドリームス社長 次号に続く)

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