住民の3分の2がアジア系の街、フラッシング

DEEPなQUEENS2

 クイーンズ区フラッシングは、NY市内で最も大きい中華街があり、目抜き通りの交差点はNY市で3番目の賑わいのある、住民の3分の2がアジア系の街。このエネルギー溢れる街の知っているようで知らない一面をご紹介します。

 ここはかつて、米国で宗教の自由が誕生し、奴隷解放活動にも深く関係があった場所。宗教の自由にはクエーカー教徒の存在が大きくありました。当時の指導者であったジョン・ボウン(Bowne)は、植民地総督スタイヴァサントの意に反し、クエーカー教徒集会を開き逮捕されました。この逮捕がのちに、植民地そして米国での宗教の自由を得る事に繋がったそうです。

また、ボウンの子孫は、「アンダーグラウンド・レイルロード」と言われた北部への奴隷亡命を手伝う秘密組織活動や奴隷制度廃止運動に尽力したそうです。

 さらに、後々の社会に功績を残した人々の足跡もあります。逃亡奴隷の息子ルイス・ラティマは独学で製図者そして発明家となり、電話のベルやエジソンと働いた人。また、造園家サミュエル・ボウン・パーソンズは、日本の紅葉をはじめ米国に数百の植物を紹介した人です。

 加えて、街には21の歴史的建築物を巡る「フラッシング・フリーダム・マイル」と呼ばれる散策コースがあります。クィーンズで一番古い建築物のボウンの家、NY市で最も古い礼拝所のクエーカー集会所、NY市で一番古い公立のフラッシング高校などが含まれています。街外れにある見事なヒンズー教寺院は米国で2番目に古く、街は古い建物づくしです。

 かつて、宗教の自由、奴隷の自由を目指したフラッシング。現在も多数の宗教施設を有し、中華街だけではない奥深い魅力がある街です。

 プロフィール 兵庫県明石市出身、ウエストチェスター在住。週末、街歩きグループと共に、未知なるNY市内を元気に探索中。ブログ「見タイ知りタイ!行った気になる歴史と散策」を主宰 https://kkykm-m.com/