エアバスA350ー1000型機続々
Design Your Story
日本航空(JAL)は今年1月24日、国際線の新型機エアバスA350ー1000型機のニューヨーク=羽田線(JL005/JL006便)への就航を開始した。すでに2機がNY線で使われており、3機目がダラス線、ついで昨年5月に運航を始めたニューヨーク深夜発のJL003便での運用も近く始まり、ロンドン線なども含め24年度末までに第一期発注分の8機を受領、その後も順次、従来型機のボーイング777からのシフトを進めて合計13機を受領する予定だ。
新型機は、機内の座席をコンセプトそのものから斬新に一新し、スペース、サービスも大幅に改善された。「Design Your Story」(旅のはじまりからおわりまで、お客さま一人ひとりに過ごし方を「デザイン」いただく)をコンセプトに同機の機内装備を日本での開発スタート当初から携わったという新谷浩一ニューヨーク支店長に新型機エアバスA350ー1000型機の魅力について聞いた。
乗客からの反応は「まず、皆さん、新しくて綺麗だね。広く感じるねと開口一番言っていただけ、そして次に壁が高いねと驚かれます」。ファーストクラスとビジネスクラスの個室化を画期的に進めたのがこのエアバスA350ー1000型機だ。ファーストクラスはこれまで横に4席あった座席を3席に減らして、これまでの8席から6席にしたことで座席スペースが1・5倍近くになり開放感が増した。「開発当初から、快適な時間を過ごしていただける広い空間と個室化を目指した」という。
ビジネスクラスも乗客が自由に過ごし方を選べるように初めて扉を設けた。同クラスは、これまでよりも5席多い54席としながらも前後間隔を充分に確保、プライバシー性も保ちつつ、開放感のある空間を演出するために座席上の収納棚は窓側のみの配置、個室内にはジャケットや手荷物を収納できるクローゼットもついている。ヘッドホンなしで聞けるヘッドレスト内蔵スピーカーも好評だという。
エコノミーよりも広いプレミアムエコノミークラスは24席と、これまでより16席少なくした。さらにプレミアムエコノミーとしては世界初の電動式リクライニングを採用した。手動では好みの姿勢を調整するのが難しかった微妙な角度まで楽々と調整ができ、しかも、モーターのギアが連動しているためフットレストも床と平行になるまで上げられて足を伸ばせる。男性ならあぐらをかけるほどだ。日米間の長時間フライトにはありがたい装備だ。また隣席の人の視線が気にならない大型の可動式プライバシーパーティションを設置してプライバシー空間が大きく向上した。
エコノミークラスも「時代と共に進化しています。雑誌収納スペースの位置を上に持ってくることで膝周りの空間が広がり、座席自体も薄い構造となり、シートの前後間隔は従来と同じ33~34インチですが、膝周りがより広くなっています。クッションも進化していて快適な座り心地です」。そして全席に新しくついたのが、高解像度の4Kの13インチのモニターだ。「私も先日乗って画像を見たんですが、画面が大きくて鮮明ですね。エアバスには機外カメラが機首と尾翼の先端についていて飛行中もいつでも外を見られるようになっているんですよ。窓のない座席でも飛行機の窓からまるで外を見ているような臨場感が味わえるんです」という。
きめ細かいサービス
さらに充実の機内食
日本発のファーストクラス、ビジネスクラスでは新たにスターシェフ監修によるヴィーガン・ベジタリアンメニューを事前予約制で導入し、コーススタイルで提供する。
同じく日本発のビジネスクラスでは「エクスプレスミール」サービスを導入している。出発25時間前までに予約すると、通常、一品ずつ配膳されるコースメニューに代わり、ワントレーで手早く食べられる食事をまとめて一度に持ってきてくれる。同クラスの機内食は、ファーストクラス同様ゆっくりと時間をかけて楽しんでもらう内容でメニューを用意しているが、食事を済ませて早く寝たい、仕事したいという人には嬉しいサービスだ。24年度からは、ビジネスクラスでも時間帯の枠を設けて選べるコースサービスを開始することで、好みの過ごし方を自身でデザインできる新サービスに対応できるようにする。さらに日本発のプレミアムエコノミーとエコノミークラスでも予約制で有料機内食サービスを開始している。
自ら手がけた新型機
お客様の満足が第一
新谷NY支店長は「自分が機内仕様の開発に携わった新型機の初号機をニューヨーク支店で受領できたのは嬉しかったですね。お客様に喜んでもらえるか心配でもありましたが好評で何よりです。目標はNY支店を全米で一番楽しく、一番充実して働ける支店にすることです。仕事は大変ですが、働くことの楽しみとそれを支える働きやすさとを確立することですね」。趣味は、旅行と食べ歩き、ゴルフ、スキー。「東海岸は旅行に最適な場所なので、中南米、欧州にも足を延ばしたいですね」。
1989年に入社。2011年旅客システム推進部システム刷新推進室長、16 年 路線サポート部部長 、18 年 商品・サービス開発部 部長時代に新型機エアバスA350ー1000型機の機内装備の開発に携わる。22 年 ニューヨーク支店長 (NY稲門会 所属)。
日航マンとしての心がけを聞くと「飛行機は多くの仲間の力が結集して飛べている。それを楽しみ、そしてお客様に喜んでもらうこと。JALが好きだとお客様から言ってもらえた時が一番嬉しいです」と笑顔を見せた。
ワールドクラスの航空会社
3年連続で受賞
日本の航空会社で唯一
JALは、昨年9月20日にAPEXが主催する2023 APEX EXPOにて、3年連続で日本の航空会社として唯一「WORLD CLASS」に認定された。さらに、安全・安心とウェルビーイングへの取り組みが最も優れているエアラインとして、「Best-in-Class in Safety and Well-Being」も同時に受賞した。
同賞は「サステナビリティ」、「安全・安心とウェルビーイング」、「サービス品質」の3つの評価軸により審査される点が特徴で、乗客の航空利用体験が単なる移動ではなく、安全・安心、健康かつ持続可能で、価値あるものとなるかが大きな評価ポイント。今回で3年連続の受賞となり、高いサービス品質に加え、持続可能な社会の実現に向けた同社の取り組みや、安全・安心への継続した取り組みが評価された。