マンハッタン区長が事件現場で記者会見
見て見ぬふり
日系のスキ・ポーツさん怒り
深刻なヘイトクライムが止まらない。暴行行為をする人のみならず、事件場面に居合わせながらも何もしない人たちが多いことが問題となっている。
3月29日ミッドタウン西43丁目360番地で65歳のアジア系の女性が男に蹴るなどの暴行を繰り返されて地面に倒される事件があった。当時、現場前のビルにドアマン2人が勤務していたが、暴行を阻止することや911に連絡するなどの行動を起こさず、さらには迷惑が被らないように、犯人が立ち去った直後ドアを閉めた。その時被害者の女性はまだ歩道に倒れたままだったが、駆け寄って助け起こすことはしなかった。これについてニューヨーク市長はツイッターで、被害に遭っている人を見かけたら傍観しないで警察に通報したりして助けるよう市民に呼び掛けた。30日午後4時半には事件があったビルの前でマンハッタン区長が記者会見し、市内アジア系コミュニティー団体のメンバーたちが差別に対する抗議スピーチを行い、日系のスキ・ポーツさんが「アジア系社会への無関心、無視が差別の元凶だ」と訴えた。ニューヨーク市警は犯人の写真を公開して捜査し、事件翌日の30日深夜、西40丁目のホームレスシェルターに住む無職ブランドン・エリオット(38)を襲撃罪及び増悪犯罪容疑で逮捕した。エリオット容疑者は2002年にブロンクスで実母殺害の前科があり、17年間刑務所に服役したあと2019年11月に仮釈放されていた。被害者の女性はフィリピンからの移民であることが確認されている。
(写真)事件現場でアジア系差別に抗議するポーツさん(3月30日、写真・三浦良一)