移民の人権を守る記念日
第二次世界大戦時、大統領令により強制収容所での生活を余儀なくされた日系米国人。「当時の米国の判断は違憲」として戦後数十年にわたり国と戦い、米国政府からの謝罪を勝ち取って日系人の人権を回復させた人権活動家フレッド・コレマツ氏の功績を讃え、同氏の誕生日である1月30日を「フレッド・コレマツ・デー」として「全ての移民の自由と人権を守る日」にしようという動きが全米で起きている。
自身も強制収容所で生まれ青年期にはベトナム戦争で従軍経験もある日系米国人実業家の古本武司氏らによる各議会への働きかけなどの尽力で、NY近郊では2017年のニューヨーク市をはじめ、2020年にニュージャージー州のフォートリーが単独で、そして2023年にはニュージャージー州が州全体で同日を正式に記念日として認定した。
そんな中、フォートリーとNJ州アジア・環太平洋諸島系米国人評議会の共催で、今年も1月30日当日の夕方5時から、フォートリー区役所ホールで、フォートリーとしては6回目、NJ州としては3回目のフレッド・コレマツデーを祝う式典が開催された。
フォートリー単独やNJ州全体での記念日認定に尽力した古本武司さんによる司会進行で式典は執り行われた。マーク・ソコリッチ フォートリー区長、フィル・マーフィーNJ州知事の上級補佐官であるケネス・クレイトン氏、NY日系人会のジュリー・アズマ副会長、NJ日本人会の近藤アサミ副会長、NY日本国総領事館の森和也主席領事らが、それぞれの立場でフレッド・コレマツ・デーの意義やコレマツ氏の偉業を讃えるスピーチをしたあと、同氏の長女で自身も人権活動家として活躍するカレン・コレマツ氏からの祝辞をキャロル古本夫人が代読した。また、式典出席者数名が家族の収容所体験などの話も披露した。
古本さんは、「過去に日系アメリカ人に対して米国政府が犯した誤ちを現在や未来に繰り返さないために、この日を『全ての移民の人権を守る日』としてアメリカ人の胸に刻んでもらうことは重要。奇しくも新政権誕生と共に多くの移民が不安に駆られているこのタイミングなので、より大きな声を上げて、全ての移民が苦しむことのない世の中にしていかないといけない。本来アメリカは全ての人が平等に幸せに暮らせる素晴らしい国です。」と語っていた。(本紙・久松茂、写真も)