日本と違う名門受験
冷泉さんが入試制度解説
日本クラブウェビナー
日本クラブ は10日、オンライン・スペシャルウェビナー「アイビーリーグの入り方(最新動向)」を開催し、350人が聴講する関心の高さを伺わせた。講師は作家でジャーナリストの冷泉彰彦さん。 日本の大学の試験一発勝負と違い、米国の名門大学の入試は、米国人にとっても謎に包まれた存在と言われる。その入試制度に関して最新の動向に触れながら、日本人、日系人がアイビー校をはじめとする米名門大学に出願・入学する際の留意点について具体的に解説した。「知識人の原石」であることを求めてくるアイビー校の「合格基準」とは何なのかわかりやすく説明した。講演の主な内容は次の通り。
20世紀までは良くも悪くも「伝統校」だったが、2000年前後から人気が加熱。2009年からは学費心配が軽減された。現在は大きなアイビー(Uペンとコーネル)、小さい(古い)アイビー(プリンストン、ハーバード、イエール)、厳しいアイビー(コロンビア、ブラウン、ダートマス)に分かれ、全ての学科でナンバーワンではないが、依然として社会的評価は高い。それぞれかなり強烈な校風がある。
またアイビーと同等の学校としてMIT、スタンフォードは同等かそれ以上。カルテックという特殊な存在。専攻によってはシカゴ、カーネギーメロン、ジョンズ・ホプキンスなどもあり、ウエストポイント(陸軍兵学校)やアナポリス(海軍兵学校)のミリタリースクール、ミニ・アイビーと言われるリベラルアーツ・カレッジなども人気がある。 就職に有利な大学でもある。なぜなら同窓会のコネクションがかなり有力、インターンシップの斡旋とワークがしっかりしている。
一番大切なのは、本人に合う大学を選ぶこと。なんといっても専攻次第。各大学の合格基準を見るとスポーツや課外活動歴は必須。ボランティア履歴も重要。各大学が欲しい学生像は「教室の白熱化へ貢献する学生、卒業後に実績を上げて、大学の評価を高めてくれる人材、多様性を構成し、尊重する人物」だ。
出願までの流れは、何を揃えるかを整理する。SATやACTの点数、IB(インターナショナル・バカロレア=スイスに本部のある国際的な試験制度)、AP(米国の単位先取り試験)の点数、良好なGPAを含む内申書、活動履歴、エッセイ、推薦状。
GPA(内申書)の重要性=計算式は単純でAは4点、Bは3点、Cは2点、Dは1点、Fは0点。内申書の評価は、11年生の時の成績が重視される。だが、9年生からの成績はすべて重要。単にオールAなら良いわけではない。成績のカーブが上昇傾向にあるのか、常に高度な科目に挑戦しているかなどが問われる。
2024年のSATが改定される。見通しとして試験時間が3時間から2時間に短縮、指定席で端末による受験。計算機はアプリ上で提供。数日で点数を通知するなど。特に数学と科学の科目が重要だ。
出願のタイムテーブルは、早期出願が11月上旬締め切り、合否発表は12月中旬。倍率はやや低い。通常出願は12月末から1月中旬が締め切り。合否は3月末。入学意思決定の締め切りは5月1日、半年分の学費振り込みは7月中旬。
アイビーリーグを目指す上で一番大切なことは、本人が「決意」をすることがすべて。自分にやりたいことがあり、8年生までに決意を。そして良い仲間との切磋琢磨をすることだ。