2021年の有給シックリーブ法 2
前回に続き、細部のシックリーブ運用についてもう少し話しますと、例えば昨年コロナ感染によって、EPSL(Emergency Paid Sick Leave)の80時間をすべて使い切ってしまった従業員が会社にいたとすると、その従業員には年が変わったからといって、さらにプラスアルファで80時間のEPSLがもらえるということは残念ながらできないのです。あくまでも昨年定めた有給シックリーブの総時間数の割り増しや拡大は認められていません。一方で、もし昨年まったくEPSLを使うことのなかった従業員の場合には今年3月末まで最大80時間までのEPSLを使う権利を維持しているということになります。
法案では、FFCRA(Families First Coronavirus Response Act)の2つの有給シックリーブを3月いっぱいまで継続する雇用主は全従業員に対して、その継続する旨を文書で通知することが要求されています。さらにEPSLならびにEFML(Expanded Family Medical Leave)を今年は継続しないと決められた雇用主がいたとしたら、それはそれで継続しないことを全従業員に文書で通知されることを強くお奨めします。振り返れば、このFFCRAによる2つの有給シックリーブは昨年4月1日から施行がスタートしましたので、ちょうど1年間にわたる時限立法という位置付けで、まあ切りがよろしいかとも思われます。
最後に私からの提案といたしまして、続けられるのであれば、少なくともIRSがペイロールの税額控除をしてくれる今年3月31日までは何とかしてFFCRAにあるこの2つの有給シックリーブ法を継続していただければと思う次第でございます。もちろん、税額控除の期限が過ぎた後でも同様の有給シックリーブは会社の裁量で継続することができますので、税額控除の有無にかかわらず、体力のある日系企業様であれば今年末まで続けていただければ、従業員からも価値あるベネフィットを大変な状況下にあっても会社は提供し続けてくれたという感謝とリスペクトの気持ちをもたらしてくれるのではないでしょうか。ご一考いただけましたら有り難いです。
酒井 謙吉 Pacific Dreams, Inc. CEO