アート・スチューデンツ・リーグ2階のフィリス・ハリマン・メイソン・ギャラリーで同美術学校で学んだ海外のアーティスト25人の作品を集めた「ア・リーグ・オブ・ネイションズ」展が11月30日まで開催されている。展示作家の中に国吉康雄(1889〜1953)、宮本和子(1942〜)、斉藤喜久雄(1939〜2016)の3人の日本人アーティストの作品が展示されている。
国吉は1889年、岡山市内で生まれ、1904年に岡山県立工業学校の染料科に入学したが、1906年に退学し、カナダ経由で米国に渡った。国吉の米国生活はシアトルから始まり、鉄道工夫、農業労働者、ホテルの雑役夫により糊口を凌いだ。次いでロサンゼルスに移動して肉体労働に従事する傍らに公立学校に通い、その後スクール・オブ・アート・アンド・デザインに入学して画学生となった。1910年に国吉はニューヨークに移動し、ナショナル・アカデミーに入学するが3か月で退学し、その後1914年にインディペンデント・スクール・オブ・アーツに入学した。この前年にはヨーロッパのモダニズム芸術を紹介して米国の保守的な美術界に衝撃を与えたアーモリー・ショーが開催されたが、国吉自身は仕事のためこれを直には見ていない。しかしアーモリー・ショーがもたらした熱気に国吉も人づてながら触れていたとされる。国吉は更にヘンリー・スクールを経て、1916年にアート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨークに入学し、ケネス・ヘイズ・ミラーの指導を受けた。アート・ステューデンツ・リーグの在学中に、国吉はジュール・パスキンやロイド・グッドリッチなど後に国吉を支える多くの人物と出会った。展示されているのは無題でメーン州の景色のスケッチ画。同校永久コレクションから。展示資料によると1929年にニューヨーク近代美術館(MoMA)で最初の展覧会が行われ、32年にはラジオ・シティー・ミュージックホールの化粧室に壁画を描いたとある。
The Art Students League
Phyllis Harriman Mason Gallery, 2nd Floor
215 W 57th Street, New York 10019