喜多流の能「皇帝」「枕慈童」喜多流の能

ジャパン・ソサエティー、12月1日から

 ジャパン・ソサエティー(JS、東47丁目333番地)舞台公演部は、2022年秋〜2023年初夏のシーズン・ラインナップとして、昨シーズンに引き続き全てのプログラムを劇場でのライブ公演とし、《日本人と非日本人との協働による創造》に焦点をあてたダイナミックな構成となっている。12月1日(木)から3日(土)には、2016年の公演でも好評を博した喜多流の能楽師たちが、日本でも上演されることが稀な楊貴妃の健康回復を語る『皇帝』(プログラムA)と、長寿を寿ぐ『枕慈童』(プログラムB)の2作品を披露する。パンデミックという世界的危機からの早期復活を祈念する公演となる。ユネスコの無形文化遺産に指定されている能は武家の式楽として発展してきたが、その能の五流の中でもっとも武士気質が強く力強さが感じられる喜多流の芸を、喜多流精鋭の能楽師たちが圧倒的な迫力で届ける見逃せない作品だ。

  『皇帝』は、玄宗皇帝が大病の楊貴妃の容態を案じているところに鍾馗の神霊が現れ、病鬼を追い払い、妃の病を治すという物語。一方、同じく中国を舞台にする『枕慈童』は、菊の葉から滴る露を飲むことで700年も若い姿のまま山奥に住み続けているという少年の伝説にまつわる、不老長寿をテーマとした作品。

  プログラムA・B共に2部構成となっており、上述の各作品の前には、能の略式である舞囃子(面、装束を付けず紋付袴で、地謡と囃子を連れてシテ1人で舞う上演形式)や仕舞(面、装束を付けず紋付袴で、地謡のみを連れてシテ1人で舞う上演形式)を、重要無形文化財(人間国宝)に認定されているシテ方・友枝昭世が演じる。

 さらに各公演の1時間前にはプリンストン大学のトム・ヘア教授によるプレパフォーマンス・レクチャーを実施する。また、12月3日 (土) の午前11時から午後1時には、喜多流のメンバーによる能の所作のワークショップを実施。現在、参加チケットは売り切れだが、見学のみのチケット(Observer Ticket)はあり。出演は友枝昭世、友枝雄人、中村邦生ほか。

 開演日時=12月1日 (木) 午後7時30分・プログラムA(終演後にレセプション)2日 (金) 午後7時30分・プログラムB (終演後に「アーティストQ&A」あり)3日 (土) 午後7時30分・プログラムA。両プログラムともに日本語での上演・英語字幕付き

 チケット料金=パフォーマンス+ソワレ(12月1日のみ)一般95ドル/JS会員76ドル。パフォーマンスのみ(全日程)一般72ドル/JS会員58ドル。チケットに関する問い合わせや、公演の詳細はwww.japansociety.org/performances/ を参照、または、電話212・715・1258。

(写真)「枕慈童」の舞台から Photo:Yutaka Ishida