平和の重みを胸に

Black Panther: Wakanda Forever

 マーベル・コミックのスーパーヒーロー、ブラック・パンサーの第二弾。2018年の大ヒット作の続編に当たるが、ブラック・パンサーを演じたチャドウィック・ボーズマンが2020年に急逝したことで、新たなキャスティングで物語を進めるかどうかが注目されていた。

 結局、ボーズマンのインパクトがあまりに大きすぎ、代役案はあっさり消え、物語の中でもワカンダの国王、ティ・チャラ(ブラック・パンサー)が急死という設定となった。ボーズマンの存在は大きかったが、代わりに本作では女性軍の台頭が目覚ましく、ティ・チャラの妹シュリ、母親ラモンダ、女性親衛隊ドーラ・ミラージュらウーマンパワー炸裂の醍醐味が生かされる内容となった。監督のライアン・クーグラーを初めキャストも前作からほぼ続投で、新たにテノッチ・ウエルタ、ドミニク・ソーンらが加わっている。

 ティ・チャラが病死し、母親のラモンダがワカンダの国王となった。国民が悲しみに暮れる中、欧米をはじめとする諸外国はワカンダが埋蔵する特殊鉱石ヴィブラニウムを入手しようと圧力をかけてきていた。運動エネルギー加速の効力を持つヴィブラニウムが軍事利用されるのは目に見えており、ワカンダは衝突を避けつつヴィブラニウムの流出を抑えていた。

 実はヴィブラニウムを保有する国がもう一つあった。古代文明を受け継ぐタロカン国で彼らは昔、民族闘争に負け、陸から追われ、今は海底に王国を築いていた。国王ネイモアはいずれ欧米がタロカンの存在を知り攻撃を仕掛けてくると懸念し、ワカンダに同盟を結ぼうと持ち掛ける。亡き兄の意思を受け継いでいるシュリはワカンダの平和を維持するための最善策は何かを探り始める。

 1作目の快活アクション・ムードから一転して本編はヒーローの死からスタートする重い雰囲気が漂うが、後のスーパーヒーロー、アイアン・ハートの登場、前作のヴィラン、キルモンガーの出現、そして言わずもがなの新ブラック・パンサーの誕生などワクワクする要素もたっぷり盛り込まれている。2時間41分。PG-13。(明)

(写真)母親ラモンダ(アンジェラ・バセット)がワカンダの国王となる Photo : Walt Disney Pictures


■上映館■

AMC Empire 25

234 West 42nd St.

Regal E-Walk 4DX & RPX

247 W. 42nd St.

AMC 34th Street 14

312 W. 34th St.