ジャパン・ソサエティー(JS)と国際交流基金の共催で3日、芥川賞作家の村田沙耶香さんがJSで講演した。
村田さんは2016年にコンビニで働く1人の独身女性の視点を通して現代日本社会を描いた『コンビニ人間』(文藝春秋)で芥川賞を受賞。この日は同書の英訳版『Convenience Store Woman』(Globe Atlantic)の出版を記念して、村田さんと翻訳家のジニー竹森さんが、村田さんのこれまでの作品とその主人公について語った。
村田さんは「主人公の恵子は合理的に生きてる人間。全く悪いことをしていないのに、回りからジャッジされる、そいう人間を描きたかった。コンビニ人間のモデルは私が日々目にする嫌なことすべて。日本の男性の悪いところをギューっと縮めて白羽さん(小説の中に出ている男性)になった」と語ると会場からは笑いも起こった。
講演を聞きに来た、6年間仕事で東京に住んでいたというリサ・ジャディさんは、村田さんのサイン本を3冊購入、「東京に住んでいる時、コンビニは毎日行った。英訳版が出るのを待っていた。12月に友人と行うブッククラブでこの本を読みます」と話した。またファイナンシャルタイムズの記事で同書を知ったという女性は「彼女がどのように主人公のキャラクターを作り上げたか、その話がおもしろかった」と話した。
講演後のサイン会では長蛇の列ができた。またレセプションではおにぎりやカップラーメンなどコンビニで販売されている食べ物が振る舞われた。この日、会場を訪れた約120人が村田さんの世界観を楽しんだ。(石黒かおる、写真も)