Amsterdam
「スリー・キングス」「アメリカン・ハッスル」の脚本・監督デヴィッド・O・ラッセルがまたもウィットに富んだコメディを仕掛ける。脚本は「実話とフィクションを巧みに混ぜ合わせ」とあるが、どうもほぼフィクションの香りがプンプン。
永遠の友情を誓いあった3人の男女が巻き込まれる殺人事件と全米を揺り動かす陰謀の裏舞台。危険に満ちた事件捜査を背景にどこかドタバタ風ではあるが心温まる友情がふつふつと浮かび上がるプロットだ。クリスチャン・ベール、マーゴ・ロビー、ジョン・デビッド・ワシントンを初めロバート・デ・ニーロ、ラミ・メレク、テイラー・スイフトら豪華キャスティングにも注目が集まる。
第1次大戦中に同じ軍隊で戦ったバート(ベール)とハロルド(ワシントン)はアムステルダムの病院で看護婦のバレリーと出会い3人は意気投合。アーティストのバレリーは負傷兵から取り出した数百個の銃弾の破片で作品を作り出すなど創造力逞しい鋭さを蓄えていた。つらい時期を乗り越え、前向きに人生を切り開こうとする3人は固い友情で結ばれ、新たな経験を積み楽しい思い出もたくさん作った。その後バートとハロルドはニューヨークに戻り、それぞれ医者、弁護士として活動するも、バレリー(ロビー)とは音信不通に。
ある日、戦時中に所属していた部隊指揮官の娘リズ(スウィフト)が父親の死に疑問を持ちバートとハロルドに相談に来るが、死因を調べているうちにリズが殺され、なんと、現場に居合わせたバートとハロルドに容疑がかかる。2人は真相究明に奔走し、その過程で十数年ぶりにバレリーと再会。3人は知らず知らずのうちに米政権の中枢を手に入れようとするファシズムの渦に巻き込まれていく。
ストーリーの山場はデ・ニーロ扮するギル・ディレンベック将軍が会場を埋めつくした退役軍人らに語り掛けるスピーチ場面だが親友3人の新たな門出が本編の根幹だ。主役、脇役いずれも非の打ちどころない演技で物語の展開がぐっと濃くなる。2時間14分。R。(明)
(写真)(左から)バート、バレリー、ハロルドは十数年ぶりに再会する Photo:20th Century Studios
■上映館■
AMC Empire 25
234 West 42nd St.
AMC Loews 19th Street East 6
890 Broadway
AMC Lincoln Square13
1998 Broadway