尾州再生ウールでショー
一般社団法人サクラコレクション(田畑則子代表)は、日本の伝統素材と世界のファッションデザイナーをコラボレーションさせたファッションショーを8日、ブルックリンのジャパン・ビレッジで開催した。このイベントは、日本の伝統素材を使った世界のデザイナーによるコレクションの発表と、世界の学生に向けて開催中のデザインコンテストのグランプリ大会。
サクラコレクションでは、日本の伝統的なものづくりと世界のクリエーターを繋いで、両者にとって持続可能な経済循環を目指している。これまでに世界9か国、38人のデザイナーと日本の産地を繋ぎ、作品を作ってきた。今回は、9か国から世界で活躍している新進気鋭のブランドが参加し、10種の日本の伝統素材を使った作品をニューヨークで発表した。
ファッションデザインコンテストは今年で10年目、34回の開催となり、テーマは「愛知県の尾州再生ウール」。尾州では、半世紀以前から余った毛糸や不要になったウール衣料などを紡ぎ直し再び織り上げる再生ウールの生産を行っている。その技術は高く評価され、サステイナブルな再生ウールとして世界で注目を集めている。
この尾州再生ウールを使ったデザイン案を募集し、11か国から67点の応募があった。書類選考によりファイナリスト10人が実際に作品を制作し、ニューヨークの同イベントで発表した。グランプリはツイン・ペア服でマルガリータ&クリスティーナNgNgさんが選ばれ、日本行き往復航空券が全日空の竹本登NY支店長補佐から贈呈された。審査員は増田セバスチャン氏、斎藤統氏、ヘアは波多晋氏、メイクはHiro氏、ネイルは名取由稀江氏が担当した。
開会のスピーチをしたニューヨーク総領事の森美樹夫大使はイベント後、「こんなに多くの関心を持たれる方、関係者の方に最後までゆっくり楽しんでいただけて本当にありがたく思っている。みなさんの協力のおかげで、日本の素晴らしい伝統工芸を素材を活かして、しかもアメリカ、アメリカのみならず、世界のタレント、才能を日本の素材を通して表現するという大変貴重なイベントとなったと思う。このイベントの結果を活かして、今後、日本とアメリカの間の文化面、人的な交流をどんどん促進して行きたい」と語った。主催したサクラコレクション代表の田畑則子さんは「日本の伝統素材が、コンテストの学生の参加国を入れて世界14か国とモデルさんも多国籍で、日本文化やアメリカンポップスを織り交ぜたショーになったこと、次は、文化イベントから、販売にも繋がり、先輩デザイナーの作品の売り上げが、若い世代をサポートしていくという循環、このプロジェクトが自走していけるようにすることが、課題です」と述べていた。