リンカーンセンターで
ニューヨーク映画界最大のイべント「ニューヨーク映画祭」が30日(金)から10月16日(日)まで開催される。60周年を迎える今年は、リンカーンセンターの他NY市を網羅する5会場で上映される。世界の話題作を集めた32作品を上映するメイン部門のほか、注目の新作、ドキュメンタリーや実験映画もある。
メイン部門のオープニング作品はニューヨーク出身のノア・バウムバック監督
の『White Noise(写真上:WHITE NOISE: Courtesy of Netflix)』で、アダム・ドライバー、グレタ・ガーウィグ主演の風刺喜劇。中間ハイライトは、鎮痛剤オピオイドの製造元であるサックラー家の責任を追求する写真家ナン・ゴールディンを追うローラ・ポイトラスのドキュメンタリ
ー『All the Beuaty and the Bloodshed』。クロージングは、有色人種でLGBTQの自伝的軍隊体験を描くエレガンス・ブラットンの長編劇映画処女作『The Inspection』。映画祭60周年記念上映は、ニューヨーク出身のジェイムズ・グレーが自分が育ったクイーンズの1980年を舞台に、少年の日常を描く
『Amageddon Time』。
ベテラン作家ではフレデリック・ワイズマン(米国)、イェジー・スコリモフスキー(ポーランド)、ルーベン・オストランド(スエーデン)、ジャファル・パナヒ(イラン)、パク・チャンオク(韓国)等の一作ごとに話題になる監督の新作が並ぶ。最近注目される作家では、フランスの地方都市のセネガル移民女性が起こした事件を元にしたアリス・ディオップ監督の『Sait Omer』、現代中国社会の若い女性の閉ざされた選択の現実を描くホアン・ジーと大塚竜治共同監督『Stonewalling』もある。
特別企画では、ライブ演奏付き『惑星ソラリス』(アンドレイ・タルコフスキー監督)製作50周年上映、チノネ・チュクウ監督が1950年代アメリカ南部
の黒人リンチ事件を劇化した『Till』、#MeToo運動を引き起こした2人の女性記者を描くマリア・シュレイダー監督の『She Said』等。回顧展ではクレア・ドニ、グラウベル・ローシャ、マノエル・ド・オリヴェイラ、エドワード・ヤン監督等の修復された古典作品が上映される。(平野共余子)
会場はアリス・タリー劇場(ブロードウエー×65丁目)、ウオルター・リード劇場(65丁目、ブロードウエーとアムステルダム街の間)他。詳細はウェブサイト www.filmlinc.org