1994年のディズニー・ヒット・アニメ「ライオン・キング」の実写風リメイク版。オリジナルのアニメはもちろん、97年に初公演されたブロードウェー・ミュージカル、その海外版など最も人気のあるデジズニー作品だけに本作も興行成績は大ヒットが確約されている。
コンピューター・グラフィックにより、背景から登場する動物まで、まるで実写映画を見ているような完成度で、ディズニーネイチャー」(ディズニーの動物ドキュメンタリー部門)作品に匹敵するほどのいわゆるバーチャル・シネマトグラフィーでの成果だ。
ボイスキャストはサバンナを治める王であり主人公シンバの父ムファサに94年版と同じジェームス・アール・ジョーンズ。シンバにはコメディアンでラッパーのドナルド・グローヴァー。幼なじみでシンバの将来の妻となるナラにビヨンセ・ノール。音楽はオリジナル版のハンス・ジマー、エルトン・ジョンらに加え本作ではビヨンセも重要な役割を担っている。監督は「アイアンマン」シリーズ1と2のジョン・バヴロー。
シンバは生まれた時からプライド・ランドの王ムファサの後継者として動物たちの平和を守る王の心得を父親に教えられてきた。しかし、遊び盛りのシンバにはまだピンと来ない。それをいいことにムファサの弟でシンバの叔父にあたるスカーはムファサを亡き者にするためシンバを巻き込み自分が王となる策略を実行に移す。
物語そのものはオリジナル版とほとんど同じ。前半は暗いムードだが故郷を追われたシンバを助けるイボイノシシのプンバァとミーアキャットのティモンのコンビが登場するやいなや一気に明るくなり爆笑の連続。落ち込んでいるシンバに「どうにかなるさ」と勇気づける「ハクナ・マタタ」の歌はいつ聞いても楽しくなる。
ディズニー・アニメの実写版は今年「ダンボ」「アラジン」が公開され、どちらもオリジナルにはなかった物語展開やキャラクターの描写があったが、ライオン・キングにはそれがほとんどない。期待外れと感じるかオリジナルのままがいいと満足するかは見る人次第だ。1時間50分。PG。 (明)
■上映館■ Regal E-Walk Stadium 13 & RPX 247 W. 42nd St. AMC Empire 25 234 West 42nd St. AMC Loews 34th Street 14 312 W. 34th St.