依田洋一朗、東京で個展開催依田洋一朗、

 依田洋一朗は1972年に香川県で生まれ、生後3か月でニューヨークに移住した。タイラー・アート・スクール(学士号)とクイーンズ・カレッジ(修士号)を卒業し、ニューヨークを拠点に創作活動を続けている。”Days at the Metropolitan Museum of Art”と題した今回の個展は、メトロポリタン美術館で10年間にわたり監視員を務めた依田の経験をもとに、画中画(同美術館所蔵の名画再現)と監視員をテーマに、名画をめぐるファンタジーを描いている。

 めったにスポットをあてられることがない監視員の職は、実は様々なジャンルの若手芸術家たちの生活の糧である。依田の知人らがモデルらしいが、ブルーの制服に収まりきれない個性的なキャラをもって登場する。画中画は、エマニュエル・ロイツェ、エドゥアール・マネ、ジャクソン・ポロック、マーク・ロスコなどによる名画で、依田がそれぞれの作品の描法や背景を研究し尽くして再現したものである。

 A Day at the Met Museum《メトロポリタン美術館での一日》(2024油彩122.0×182.8cm個人蔵)の画中画、ポロックの《秋のリズム:ナンバー30,1950》を愛でるのは、『大草原の小さな家』のローラ、俳優やミュージシャン、それとタヌキやウサギといった動物たち。目を射るのは、床を表すメローな色調のピンク色。この世の楽園の図でもあろうか。依田カラーのメローなピンク、そのヴァリエーションは、他の絵画にも生きている。

 メトロポリタン美術館蔵名画シリーズの油彩8点、依田の以前からのテーマ、廃れゆく古き良き時代のニューヨークのモニュメントをきざむ油彩等7点が、5月17日から6月15日まで、東京は京橋の老舗ギャラリー、南天子画廊に展示されている。

(青山学院大学名誉教授 金田由紀子)

(写真)A Day at the Met Museum  (2024) courtesy of Yoichiro Yoda 


南天子画廊

東京都中央区京橋3-6-5

Tel:03-3563-3511

www.nantenshi.com

日曜休廊

11:00〜18:00