ロンドンとかけもち
落語家、桂三輝(かつら・サンシャイン)がニューヨーのブロードウエーで観客を沸かせている。週に1度のニューヨークと月に一度のロンドン公演の間を縫って日本にも帰り、落語をフル回転で披露し続けている。50丁目のニューワールドステージでの6日夜の演目は、新作の時うどん、犬の目、特別追加でお馴染みの虎とライオンの動物園対決の話で観客を笑わせた。
本名はグレゴリー・ロビック。トロント大学にて古典演劇を専攻し、劇作家・作曲家としてカナダの大学院在学中に初ミュージカル作品「Clouds」を制作、トロントの劇場で15か月間のロングラン公演となり、現在でもカナダ人制作のミュージカルとしては最長記録となっている。
日本の伝統芸能である能に興味をもち1999年に訪日。三遊亭亜郎のミュージカル落語の音楽などを手掛けたのち、2003年からカナダ亭恋文(かなだていらぶれたー)や楽喜亭三陀(らっきーていさんだー)を名乗ってアコーディオン漫談や英語落語で活動を始める。2007年に大阪芸術大学大学院芸術研究科に入学し、相羽秋夫のもとで創作落語を研究。08年9月1日、桂三枝(現六代桂文枝)に弟子入し、桂三輝と命名された。2009年4月26日、カナダで英語落語で初舞台。その後は上方落語会初の外国人噺家としてニューヨークでも活躍の矢先パンデミックに。2年間止まっていたブロードウエー公演も3月から再開。三輝は「今日、日本から帰ってきたばかりで、落語で噛んでしまってもお客さんは『お許しいただけるし』、普段は2本立てだけど、今日は新作2本といつもの1本の3本、お客さんはそういう『今日だけ』っていうのが好きなんですね。そんなところが日本のお客さんとおんなじです」と話す。舞台で「今年はネットフリックスでお笑い番組に入りました」と宣言すると会場から大きな拍手。「でもまだネットフリックスの人は知りません。私の今年の目標ですから」。拍手が爆笑に変わった。(三浦良一記者、写真も)