コルトレーンとの友情

コルトレーン

日本人通訳とジャズ評論家役で出演 10日から上演

66年来日の舞台裏

Coltrane in Japan

大久保全也さん
今福一博さん

 米ジャズ界の巨匠、サックス奏者のジョン・コルトレーン(1926〜67年)と日本人との心の交流を描いた舞台劇がニューヨークで上演される。この作品は「日本のコルトレーン(原題・Coltrane in Japan)」で、3月10日(木)から27日(日)までイーストビレッジの劇場、シアター・フォー・ザ・ニューシティー(1番街155番地)で開催される。

 コルトレーンが1966年に訪日し、世界デビューした滞在中に繰り広げる日本人通訳や音楽評論家とのやりとり、出来事を通じて国境を越えた友情を描く。脚本と監督は本作が21作目となる演出家のロバート・リーボウィッツ。

 コルトレーンを招聘した実在の興行師兼通訳の斉藤延乃助役には大久保全也(おおくぼ・まさや、34)、取材する実在のジャズ音楽評論家、油井正一の役に今福一博(いまふく・かずひろ、34)の二人のNY在住日本人俳優が出演する。(写真:劇場前に立つ大久保さん(右)と今福さん)

 コルトレーンは66年7月に訪日、9都市を廻る大掛かりな公演を行っている。マイルス・デイビスのバンドでの経験を経て、独立したコルトレーンが独自のバンドで訪日準備をしていたが前年12月にピアノのマッコイ・タイナーが退団するハプニングも再現。当時の記者会見で「10年後のあなたはどんな人間でありたいと思いますか」という質問に対し、「私は聖者になりたい」と答えたというエピソードが残っている。

写真は左から、ロバート・リーボウィッツ(作演出家)、リサ・グラム・パーソン、ノエル・ハリス、大久保全也、スティーブン・スパロウ、今福一博、ピアノ前が主演の二人でオディスアス・ ベイラー(ジョン・コルトレーン役)、パトリス・バティー(アリス・コルトレーン役)

 大久保は「一つ一つの台詞の背景に大きな意味が含まれていることを何度もリハーサルで実感した」と言う。デビュー前に日本で俳優市村正親に4年間付き人として師事、ミュージカルやテレビドラマで活躍していた大久保だけに、かなりのはまり役と言えそうだ。

 今福は「舞台が作り出す独特の空間を共有してニューヨークの匂いのかけらを拾ってもらえたら嬉しい」と話す。油井正一という実在の名評論家をどう演じるのか、NYで数々の舞台やスタンダップコメディのステージを踏んできた今福ならではの役作りが見ものだ。入場料は18ドル。午後8時開演。日曜はマチネ午後3時。     (三浦)

 詳細はウエブサイトtheaterforthenewcity.net