「菊と刀」をアートに高氏奈津樹

KAPOWギャラリーで個展

 造形アーティストの高氏奈津樹のNY個展「菊と刀」展がKAPOWギャラリー(モンロー街23番地)で開催されている。戦中米国の指令により文化人類学者ルース・ベネディクトが日本の文化を研究し1946年に発表した著作『菊と刀』から展示タイトルを取った。8日夜レセプションが開かれ、画家の中川直人、アート・スチューデント・リーグのディレクターのマイケルホール氏、「KINOSAITO」ディレクターのイノ・ミキコ氏ら100人余りが集まった。

 今展示にはドローイングや小さい和菓子のような彫刻のほか3つのドレス作品「菊と刀ーエンゲージメントー」(2024 )、「菊と男たち」(24 )、「さらば我が菊」(22)が展示され、特に初めての試みとしてこの展示のために映像作品を制作した。「さらば我が菊」がコンセプトの源であり、黒いスカートを模したカーテンの中の映像は、一つは老人男性が菊を自身の欲望を満たすかのように食べる様子で、もう一つは4人の男性が菊の花びらを裸状態になるまで抜き続ける様子で、共に高氏が青年期に書いた短編小説が元となっている。青年が社会や身近な人々から感じ得る欲望、暴力性などを表している。アート・スチューデント・リーグにて絵画彫刻などを学び、ネサコーヘン賞など数々の賞を受賞。展示は3月2日まで。