東日本大震災縦軸に父娘描く

映像ディレクター 堀江貴さん

18日に映画完成披露イベント

 ニューヨーク在住で宮城県出身の映像ディレクター、堀江貴氏(51)が監督した映画「最後の乗客」の完成記念ファンドレイジングイベントが18日(土)午後6時からマンハッタンのスカンジナビアハウス(パーク街58番地/37丁目と38丁目の間)で開催される(主催・CATCH US PERFORMING ARTS 、後援・NY宮城県人会、おむすび権兵衛)。

 東日本大震災から10年目の2021年3月の公開を目指して制作を進めてきた同作品は、ドキュメンタリーではなく、親子の関係が震災で変わってしまったドラマ。ストーリーは東日本大震災から10年。とある東北の小さな駅のロータリー。タクシードライバーの遠藤は受験で東京へ行ったきり音信不通の娘みずきの帰りを待っている。遠藤は娘と喧嘩別れしたきり一度も会っていないのだ。そんなある日、幽霊がでると噂の沿岸道路で一人の謎の女性客を乗せる。女は「浜町まで」と告げる。そして、その途中、同じく「浜町」へ行きたいという親子も同乗し、4人は浜町を目指す。

 出演は、娘役に岩田華怜。宮城県出身の俳優。元AKB48、みやぎ絆大使が台本を読んで快く出演を快諾してくれた。ホリプロでオーディションができたのは堀江監督がニューヨークに戻る日の午前中だった。父親役は宮城県出身の俳優、冨家規政。83年NHK連続テレビ小説「おしん」でデビュー。以来、テレビドラマを中心に映画、舞台、CMなどで活躍するベテランだ。撮影は宮城県出身の佐々木靖之。昨年「ドライブ・マイ・カー」でアカデミー賞を受賞した濱口竜介監督の震災の記録映像をアーカイブするドキュメンタリー作品「東北記録映画三部作」、「寝ても覚めても」を撮影した実力派で、いずれも宮城県出身者で出演、スタッフを固めている。

 苦労したのは、やはりコロナ禍による撮影延期だった。「映画作りというのは本当に一期一会なんだということを実感しました。決められた撮影スケジュールの中で出演者、スタッフ、カメラマンなどが総力をあげて一気に作るわけで、今回だめでまた来年やりますと言っても無理なんです。2020年3月下旬からの撮影直前、新型コロナの蔓延防止条例が発令され、撮影が延期に。2021年11月19日、万全の対策をとりながら撮影をスタート。奇跡的に同じメンバーが揃い寒風が吹く中、多くの人々からの協力と支援を得て、撮影は11月25日にクランクアップした。

 「東日本大震災から、パンデミックを乗り越え、12年の年月が経過しましたが、その間には悲しいことばかりではなく、多くの人々の心にも一条の光が射すことがあったと信じています。この映画『最後の乗客』は、過去を乗り越え、未来へ導く光を力強く描いています。ぜひ皆さんに観ていただきたいと思います」と堀江監督は笑顔を見せた。

 (三浦良一記者、写真も)

 映画「最後の乗客」完成記念ファンドレイジングイベント=東日本大震災10年メモリアルプロジェクトは18日(土)午後5時半開場。寄付は30ドルから。参加申し込みは下記のリンクから。問い合わせはEメール、contact@marcreation.com  河野さん。

[申込先] https://www.eventbrite.com/e/10-tickets-530700077217


プロフィール:ほりえ・たかし:1971 年生まれ、宮城県仙台市出身。ニューヨーク在住映像ディレクター。1995 年、南カリフォルニア大学映画学科を卒業後、2016 年に制作した大江千里のミュージックビデオ「Tiny Snow」がニューヨークジャズフィルムフェスティバルで最優秀ミュージックビデオ賞とジャズゴールデンタイム賞をダブル受賞。プロモーションビデオ、ミュージックビデオなど多数手がける。2017年には、自主制作短編映画「Ordinary Days」がサンタモニカのThe Artemis Women in Action Film Festivalと東の登竜門といわれるペンシルバニアNew Hope Film Festivalで短編フィクション部門で上映された。