鈴木清順作品を上映

生誕百年記念しJSで

 ジャパン・ソサエティー(JS)と国際交流基金の共催による、映画監督・鈴木清順の生誕100周年を記念した特別上映会が2月3日(金)から11日(土)まで、JS内劇場(東47丁目333番地)で開催される。日本映画界で異端児的な存在である鈴木清順(1923〜2017)は先鋭的なスタイルと予測不可能な作風で知られる。その独特な映像美は「清順美学」と呼ばれ、後世の映像作家たちに大きな影響を与えた。今回は約60作品の中から厳選した6作品の35ミリプリントを日本から直輸入し上映する。日本語上映、英語字幕付き。

 入場料は一般15ドル、学生・シニア12ドル、JS会員10ドル。チケット・詳細はウェブサイトhttps://japansociety.org/を参照。

■『陽炎座』(1981年)2月3日(金)午後7時から。劇作家が2人の奇妙な女性に翻弄される。悪夢ともいえる大正時代の快楽と倒錯を鮮やかに描写した作品。出演は松田優作、原田芳雄、加賀まりこ他。

■『悪魔の街』(56年)4日(土)午後5時から。ラウール・ウォルシュの『白熱』にも通じる複雑な犯罪映画。一連の映像をストップモーションで編集したり、プールの水面に反射した映像を逆さまに撮影するなど形式的な実験を行っている。出演は河津清三郎、芦田伸介、菅井一郎他。

■『らぶれたあ』(59年)4日(土)午後5時から。ピアニストが、文通していた森に住む恋人を訪ねた際に秘密が発覚する。この短編映画は「歌謡映画」と呼ばれ、ピアニストの共演者として歌手のフランク永井が出演しテーマ曲も歌っている。出演は待田京介、フランク永井、筑波久子他(『悪魔の街』との同時上映)

■『東京流れ者』(66年)4日(土)午後8時から。仮釈放されたばかりの前科者が更生を試みるが、すぐにかつての仲間やライバルたちから命を狙われる、狂気に満ちたヤクザ映画。出演は渡哲也、松原智恵子、川地民夫他。(=写真 「東京流れ者」(1966年)© Nikkatsu Corporation)

■『河内カルメン』(66年)10日(金)午後7時から。関西の田舎に住む若い女性の人生を描いた、野川由美子の最後の鈴木作品主演作品。ビゼーのオペラ『カルメン』をモチーフに、メロドラマとシュールな演出で社会批判を展開し、肉体と官能の魅力に溢れた3部作の最終作。出演は野川由美子、伊藤るり子、宮城千賀子他。

■『悲愁物語』(77年)11日(土)午後7時から。『あしたのジョー』で知られるスポーツ漫画の巨匠、梶原一騎の原作をもとに、広告やセレブリティ文化を批判した異色の作品。出演は白木葉子、原田芳雄、岡田眞澄、和田浩治他。