©Courtesy of Arrow Films
デジタル・リマスター版で2日間
ジャパン・ソサエティー(JS=東47丁目333番地)は15日(土)と22日(土)の2日間、鬼才・実相寺昭雄監督が日本アート・シアター・ギルド(通称:ATG)で手掛けた映画3本を最新のデジタル・リマスター版で上映するイベント「実相寺昭雄〜仏教トリロジー〜」を開催する。
実相寺監督は1960年代後半に円谷プロのテレビシリーズ「ウルトラマン」の演出や脚本を手掛けた後、勤めていたテレビ局を退社し、斬新で挑戦的に仏教感を追及した3部作『無常』(1970年)、『曼陀羅』(71年)、『哥』(72年)を手掛けた。これらの作品は実相寺監督と脚本家・石堂淑朗がタッグを組み、仏教の解釈を独自に表現するだけでなく、大胆な性描写で反社会的、反論理的でタブーな題材を取り上げている。入場は18歳以上。
入場料は一般14ドル、シニア・学生11ドル、JS会員10ドル。チケット購入・詳細はウェブサイトwww.japansociety.orgを参照する。
■『無常』15日(土)午後1時、22日(土)午後7時。
日本的風土の中での近親相姦を通じて、人間の精神の原鉱を探ろうとした意欲作。琵琶湖近くの旧家、日野家の長男は大阪で問屋を経営する父親の意に反して大学へも行かず、ただ仏像の魅力にとりつかれていた。正夫の美しい姉はなぜか父母のすすめる縁談に耳をかそうとしなかった。ある雨の日、広い屋敷に2人だけになった姉弟はふざけているうちに一線を越えてしまい、激しく抱擁し合う。70年、ロカルノ映画祭グランプリ受賞。出演は、田村亮、岡田英次、司美智子、田中三津子、寺田農。
■『曼陀羅』15日(土)午後4時、22日(土)午後1時。
農業とエロティシズムを柱として単純再生産を基本としたユートピア集団の実現を計るモーテルの真木支配人夫婦と、偶然モーテルに泊まっていた新左翼系の男女学生カップル2組が中心となり、恋人交換、暴行、サディズムなど、さまざまな型の性が交差する。大胆な性描写を用いて観念的なテーマを扱い、革命幻想と日本の姿に迫る。出演は、岸田森、田村亮、清水紘治、森秋子、桜井浩子。
■『哥』 15日(土)午後7時、22日(土)午後4時。
丹波篠山に邸宅を構える旧家の三男、実の母親に言われるまま森山家を守るために日々働き続けていた。一方、長男や次男は家を守ることには執着せず、自分たちの代で終わっても良いと考えていた。ある夜、長男の妻が同居している青年と女中の情愛を目撃し、淳を誘惑していく。出演は、篠田三郎、八並映子、桜井浩子、田村亮、岸田森。