【編集後記】 みなさん、こんにちは。米国の映画で「スーパーマン」を演じた主演俳優のクリストファー・リーブさんが1995年に乗馬中に落馬して脊椎損傷の重傷を負い、車椅子生活になって同じ脊椎損傷患者の治療と研究のために貢献したことは、詳しくは知らなくても、どこかで聞いたことがある人は結構いるのではないでしょうか。2007年名称を「クリストファー&ダナ・リーブ財団」に変更し、現在、リーブさんの3人の子供、マシュー、ウィル、アレキサンドラが財団の理事を務めています。これまで40回同財団の年次晩餐会が開催され、そのうち20回も日本から参加して支援している日本人の親子がいます。「脊椎損傷の治療はもう日本の方が進んでいるということを前理事長に伝えたけれど、会場で発表されることはありませんでした」とちょっと残念そうに話したのは、母親の今井千恵さんとともに、米国最大の脊椎損傷支援団体、クリストファー&ダナ・リーブ・ファンデーションの年次晩餐会に10日出席したCHIE IMAI社長の今井千晶さん。これまで有効な治療法がなかった脊髄損傷。不慮の事故などで重い後遺症を抱えた患者は、そのまま車いすや寝たきりの生活が続くのが常でした。そんな脊髄損傷患者をめぐる状況が、大きく変わるきっかけを作ったのが札幌医科大学の幹細胞治療の研究です。3年前に脊髄損傷の治療に自分の細胞で神経再生する方法を発見、事故から31日以内であれば、自分の細胞を再生して歩行が可能というほぼ奇跡に近い画期的な発見なのです。2年半のパンデミックで活動がほぼ休眠状態だったリーブ財団に今年、新しい理事長が就任され今井さん親子は、この日本の最先端の技術の存在を伝えるのは今だと実感したようです。「日本の研究成果が、アメリカで苦しむ脊椎損傷の患者を今度こそ本当に救うことができるかもしれない」。札幌医科大の教授をぜひ、いつかニューヨークに連れてきて成果を財団の皆さんの前で発表してもらいたいものです。今井さん親子の地道な社会貢献活動が実を結ぶ日は近いかもしれませんね。今週号の5面で記事掲載しています。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)