編集後記

【編集後記】



 みなさん、こんにちは。日本は世界からどう見られているのか。日本人自身は日本をどう見ているのか。いつの時代にも気になるところですが、ブルッキングス研究所のミレヤ・ソリス博士が先月、『Japan’s Quiet Leadership』(ブルッキングス・インスティチュート・プレス刊)という日本関係書を出版しました。同書は、日本の経済的・政治的進化の過去30年間を俯瞰し、グローバリゼーションの経験、経済的国家運営の影響と再調整、そしてインド太平洋での日本の安全保障のプロファイルを徐々にではあるけれど、その外交ネットワークで大きく変化させる引き金となった地政学的挑戦の数々を紹介しています。9月27日にコロンビア大学で、この本についての講演と質疑応答がありました。モデレーターとしてコロンビア大学のジェラルド・カーティス名誉教授が「重要なメッセージは、日本がインド太平洋地域の再構築と自由主義的国際秩序の擁護において重要な指導的役割を果たしているということだ」と解説しました。詳しくは本紙1面と10面の書評欄で紹介していますのでご覧ください。日本関連本といえば、今をさかのぼること 40年以上前の、1979年に出版された、かの有名な日本でのベストセラー『ジャパン・アズ・ナンバーワン』でしょうか。戦後の日本経済の高度経済成長の要因を分析し、日本人の高い学習意欲、日本的経営、日本特有の経済・社会制度を再評価するきっかけとなった1冊で「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という言葉は、いまだに1980年代の日本経済の絶頂期を表わすものとして用いられています。著者のハーバード大学名誉教授のエズラ・ボーゲルさんは2020年にお亡くなりになってます。今の日本の状況を見たらなんと言うかは別にして、今度出た日本の静かなるリーダーシップ、静かなると言うところがミソですね。モーレツからビューティフルを超えてクワイエットな時代に。外交を武器としたネットワーク大国日本の姿が浮き彫りにされています。日本では少子高齢化でまったなしの危機感でそのうち人口の4分の3になるであろう高齢者の年金危機を煽る論調ばかりがネット上に溢れていますが、日本の存在感は日本人が思っている以上に海外では高まりつつあるのかもしれません。それでは皆さんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)