【編集後記】
みなさん、こんにちは。「このままでは、米国の日本人が消滅してしまう。それは米国経済にとってもマイナスになる。打開策として米国永住権の日本人枠を増やして欲しい」ーそんな嘆願書をニューヨークで人材紹介・派遣会社を営む一人の日本人、藤原正人さん(66)が、ラーム・エマニュエル駐日米国大使に出しました。提出したのは5月21日です。本紙今週号5面に記事で掲載しています。それによると、米国勢調査を元に在米日本人の高齢化が進んでいることを指摘し、その原因は、かつてのH1Bビザ取得を経て永住権の申請をして、中には米国籍を取得する人たちが生まれるという図式が、H1Bビザの申請が宝くじみたいに限りなく可能性が減ったことで、永住権に切り替える日本人が激減したことによると分析しています。日本企業や政府・関連機関で駐在員としてアメリカで働いている人は日本経済に貢献していることは間違いなく、アメリカ経済にも大いにプラスの貢献をしているので、その駐在員の数が今後減ったとしてもおそらく日本企業がアメリカでビジネスする限り、入れ代わりにどんどん来るので消滅することも社員とその家族が高齢化していくこともないでしょう。問題は、アメリカで日本国籍を持っている永住者が、日本経済に貢献しているかというと、もちろん日系企業の現地採用社員として働くという形で日本経済の貢献に関わっているとは言えますが、多くはアメリカ企業やアメリカ人を顧客対象としたサービス業、飲食業が多く、日本文化理解の促進、草の根レベルでの日米友好親善の促進などは期待できますが、それでアメリカ国内の日本人人口が減ったことで日本の国が困るとか、アメリカが困るこということはなさそうに見えます。今回嘆願書を出した藤原さんのような人材紹介業が、アメリカの日本人が減ったことで一番打撃を受けているようで、利害当事者のもっとも被害を受けている業界からの切実な声が今回の嘆願書の背景にあると言えます。雇用現場では日本語で就労可能な人材不足による人材の奪い合いなどが起きているようです。そいういえば、20代、30代の永住者にお目にかかったことが最近ありません。アメリカは定年はありませんが、体力的に労働可能な永住者の高年齢化が進んでいるのは確かなようで、年齢差別はしていないと表向きはなっていても、結果的に採用の現実はそうはなっていないので、日系企業の採用担当者も、そろそろ60代の日本人永住者の就労希望者受け入れなども前向きに考えられてはどうでしょう。有能な知り合いの日本人女性永住者があちこちに願書を出してもなかなか採用にならない、そんなミスマッチが続いています。人材不足を人材と関わる人たち自身が作り出しているようにも思えますがいかがでしょう。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)