活動弁士NYに 小津安二郎映画生き生き

【編集後記】

編集後記 2023年6月24日号

 みなさん、こんにちは。小津安二郎監督生誕120周年を記念した映画上映会「OZU120」(国際交流基金とフィルムフォーラムの共催)が今月29日(木)まで、フィルムフォーラム(ウエストハウストン通り209番地)で開催されています。貴重な無声映画15本を含めた現存するすべての作品30本以上を紹介する大特集で、19日と20日には、日本から活動弁士の片岡一郎氏が来米し、「大人の見る絵本、生れてはみたけれど」(1930年)と「突貫小僧」(29年)、「その夜の妻」(32年)を松村牧亜さんのピアノ伴奏で活弁しました。片岡さんは「無声映画は、弁士や音楽演奏など生の人間が介在することによって新作になっていく。映像ではなく、感情が飛び出してくる3D映画だと思っています」と話していました。台本も自分で書くそうで、これまで世界22か国で活動し、NYは3回目。セリフは日本語ですがきっとアメリカ人にもエモーショナルなものとして伝わった臨場感あふれる上映会となりました。片岡さんは1977年東京生まれ、日大芸術学部演劇科を卒業して2002年に弁士に。NHK大河ドラマ『いだてん』や周防正行監督による映画『カツベン』にて出演、時代考証、活動弁士の実演指導をしています。小津の名作は今月29日まで、まだまだNYで上映が続きます。今からでもまだ見られる上映作品は次の通りです。私の大好きな「秋刀魚の味」は(24日)、ほかにも「非常線の女」(24日)、「秋日和」(24日と28日)、「東京の女」(25日)、「浮草物語」(25日)、「浮草」(26日)、「東京の合唱」(26日)、「早春」(27日)」、「小早川家の秋」(27日)、「母を恋はずや」(27日)、「晩春」(29日)、「東京の宿」(29日)、「東京暮色」(26日と29日)、「東京物語」(29日)と続々です。入場料は15ドル(一般)。チケット購入方法、上映予定の詳細はウェブサイトhttps://filmforum.orgをご参照くださ。私も30年前にマンハッタンの今はなき東京ビデオで買ったVHS版「秋刀魚の味」を自宅では機材がもうなくて見れないので、今週末、再び映画館に足を運んで、束の間の仕事場エスケープを楽しんで来ます。それでは皆さんもよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)