【編集後記】 みなさん、こんにちは。黒人男性ジョージ・フロイドさんが、昨年5月25日にミネアポリス近郊で、警察官の不適切な拘束方法によって死亡させられた事件についてミネソタ州の裁判所の陪審は20日、第2級殺人など3つの罪に問われている元警察官のデレク・ショービン被告に対し、すべての罪で有罪とする評決を出しました。裁判で弁護側は、ショービン被告が警察の指針に従って訓練どおりに行動したと強調したほか、フロイドさんの死因は使用していた鎮痛剤と持病によるものだとして、無罪を主張していました。告訴状によると、偽ドル札の使用容疑により手錠をかけられたフロイドさんが、「呼吸ができない、助けてくれ」、と懇願していたにも関わらず、8分46秒間フロイドさんの頸部を膝で強く押さえつけフロイドさんを死亡させました。その時間の中で、フロイドさんの反応が見られなくなった後の2分53秒間においてもこの警察官はフロイドさんの頸部を膝で押さえ続けていました。その他3名の警察官の関与も「やめろ」という声を制止して市民を近づけさせなかった様子が動画などで確認されています。 フロイドさんの死は、2014年のエリック・ガーナー窒息死事件と比較されています。ガーナー事件では、ニューヨークの警察官が逮捕時に、11回も「息ができない」と叫ぶ丸腰の黒人に対して首絞めを行い続け死亡させましたが、警察官は罪には問われませんでした。92年にロサンゼルスで起こったロドニー・キング事件も警察無罪で暴動を起こしましたが、インターネットが普及する前は、おそらく報道されずに、また、人々の知らないところで似たような事件や悲劇が起こっては闇に葬られていたのではないでしょうか。今回のフロイドさんの事件も、ビデオを撮影した1人の少女がいなければ、判決がどうなっていたかは分かりません。黒人差別からアジア系憎悪犯罪への連鎖止まりません。「やめてくれ」と声を上げて抵抗しない限り、個人へのいじめや虐待はエスカレートし、それは国家の勢力拡大にも同じことが言えると思います。侵略には「やめてくれ」と押し返す勇気が必要ですが、単独では喧嘩になり戦争になる危険があります。仲間を束ねて抵抗していくしかありません。それが現代の「喧嘩の作法」かもしれません。フロイドさん事件は、今回の評決を受けて、量刑について6月に言い渡される見通しです。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)