【編集後記】 みなさん、こんにちは。ポスターハウス(西23丁目119番地)で「メイド・イン・ジャパン・20世紀ポスターアート」展が開催されています。戦前、太平洋戦争・第2次世界大戦中、戦後復興、高度経済成長、国際化、環境意識の台頭という日本の20世紀という時代を映す鏡としての宣伝・広告ポスターで100年を72枚の作品で構成した類稀な美術展と言えます。2019年に開館して程なくパンデミックとなってしまったため、その存在はまだ余り知られていないのですが、マンハッタンの23丁目にある同館は、ポスターという媒体によってアートを表現し時代を物語る美術館であり博物館としてこれから多くの市民や世界の観光客が訪れる名所となりそうです。 今回の展示作品には、戦前・戦中のポスターは愛国心を鼓舞し、プロパガンダを流し、戦局を支えるために消費者の自制を促すような作品、第二次世界大戦後は、日本企業が世界的なブランドとなるにつれ、日本のアーティストたちが、日本の伝統的な美意識と西洋のデザイン様式をミックスした新しい形態のグラフィックメディアを考案していく変遷が作品とともに展示されています。亀甲雄策、田中一光、横尾忠則などのオリジナルのポスターがズラリと展示されているのは圧巻で、これまで横尾忠則の作品は雑誌やオンラインで見たことがあるがポスターの実物は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で数点を見たことがあるだけで、これだけ集まると見応えがある。実物のポスターがかなり大きいものだったのだと驚きました。この展覧会のことを知って驚くのは横尾忠則さんご本人かも。本紙でも昨年の新年号の表紙など、連載記事を執筆していただいているだけに、今週号を早速ご本人にも知らせようと思います。同展を広報するルーベンスタイン社のシニア・バイス・プレジデントを務めるケイト・ブラムさんは「20世紀の日本の歴史は激動の100年で、戦争を経て国際社会の一員として経済成長することを目指し、世界からの評価を求めるために走った時代がポスターに表されている。米国の60年代70年代の社会運動とも交差し広告を通して日本という国の20世紀を描けるような展示構成になっている」と話しています。展示は始まったばかりで、9月10日まで開催されています。アートと歴史にご興味のある方、ぜひいかれると面白いですよ。それでは皆さんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)