【編集後記】
みなさん、こんにちは。ニューヨークの私立リセ・ケネディ日本人学校(新元良一校長)及び同フランス人学校の理事長を務める園田明淑さん(90)が、このほどフランス政府からナポレオン・ボナパルトによって1802年に創設された名誉あるレジオンドヌール勲章を授与されました。1964年に創立されたリセ・ケネディ国際学校は、1985年に夫の故園田幸司博士が経営権を取得した後、日本人学校が併設されました。アメリカとフランス、そして日本との文化交流の発展に、同校が長年寄与したことに対し、9日、在ニューヨーク・フランス総領事館でロベール総領事から勲章が伝達され、ナイト(騎士)の称号が与えられました。「すべては夫が築いたことを引き継いだまでで、私はもらう資格はないです」と控えめに語る園田さんは、産婦人科医として長年ニューヨークでクリニックを開業し、これまで日本人を含む1万人以上の赤ちゃんをとりあげてきた人だ。ご主人が日本人学校を開校した当時、私は読売新聞の米国現地版の記者として園田博士を取材して記事を書いていた。「ザ・ニューヨーク・ヨミウリ」1986年8月7日号の縮刷版によると、日本人高校ができたのはミッドタウン44丁目、五番街と6番街の間。教室の黒板がとても広く大きかったのを覚えている。その後、ウエストチェスターのアーズレーの校舎でフランス人学校のキャンパスを使って日本人学校としての経営をしていた。しかし2005年に幸司さんが肝臓がんのため急逝したことから学校経営を引き継ぐことに。37年前の開校時の新聞コピーを持って園田夫人、現理事長に昨日お会いした。コピーを手に懐かしそうに目を細めた園田さん。日本からの医学生たちを世話するのが大好きだった夫の言葉が今でも忘れられない。「僕は90歳になっても杖をついてでも学校経営をやっていくよ」。今、自分がその年になり、夫の遺志を継いで日本人とフランス人子女の教育にこれからも身を捧げるつもりだという。天国の園田さんもきっと奥さんに「おめでとう。ご苦労様」と言っているだろう。ちょうど昨日は2月14日。37年前の記事のコピーは、私の手を介して贈った園田博士から奥さんへのバレンタインデープレゼントだったのかもしれない。本紙今週号の1面に記事、11面にインタビューがあります。それでは皆さんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)