情報貧困世界会議 国連でN高紹介

ネット高校のSDGsへの取り組み

 学校法人角川ドワンゴ学園「N高等学校」(本校・沖縄県うるま市、在籍生徒9727人、奥平博一校長)の山中伸一学園理事長(元文部科学事務次官)が12日午後、国連本部で開催された国連NGO「OCCAM」主催の「第19回 情報貧困世界会議」に登壇し、「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供する未来学校N高」と題して、同校のSGDsへの取り組みについて発表した。
 同校は、2016年4月にインターネットと通信制高校の制度を活用した「ネットの高校」として設立し、今年で4年目を迎える。この4月の入学者は4004人で、他通信制高校を含む日本全国の高校の4月入学者数としては日本一(同校調べ)となっている。
 在校生には、シニアデビューとなった2018〜19シーズンで四大陸選手権を含む国際大会で6連覇した女子フィギュアスケートの紀平梨花さん(高2)をはじめ、さまざまな分野で活躍する生徒が多く在籍している。授業はスマートフォンで1講義10分刻みになっており短時間で集中的講義を受ける形になっている。
 山中氏は「教育の情報貧困格差」という点を都市部と離島や山間部の過疎地での現状を使って説明し、「どこでも、誰でも、安い学費で高校卒業資格を取得することができるシステムを、国際社会における先進国と発展途上国での教育の格差是正、改善のヒントにして欲しい」と国連第12会議室に集まった各国の関係者に訴えた。
 山中氏の講演前後にユニセフの担当者や国連事務局の田頭麻樹子経済社会局オフィサーが加盟国の教育格差是正の取り組みを報告したこともあり、短期間で教育の情報貧困打破の成果をあげているN校の実績を際立たせた格好となった。
 同校卒業初年度の主な大学合格実績では九州、筑波、慶應義塾、早稲田、上智、立教、明治、青山学院、法政、中央などに進学実績を出している。海外の高校に在籍しながらネット授業により日本の高校卒業資格も同時に取得できるため、国際感覚を肌で身につけた若手人材育成の観点から、今後、邦人帰国生の教育にも注目されそうだ。
 主催したOCCAMは、ミラノに本部を置くデジタルコミュニケーション観測機関でユネスコによって設立されたNGO。国連常駐代表の村田敏彦さんは「国連が推進する持続可能な発展に貢献できる日本企業を探し、その取り組みを国際社会へ発表する場として、今後もこの会議を活用していきたい」と話している。